毎日衝撃の連続だ。12・3内乱事態以後、毎日のように驚くべきニュースが流れているためだ。様々な形の暴力が韓国社会のあちこちで増殖しており、1月19日のソウル西部地方裁判所乱入事態はその暴力のピークだった。しかし、さらに懸念すべきなのは、これが決して終わりではないという点だ。極右は依然として暴力を扇動しており、さらに多くの人々が暴力に加担する勢いだ。特に裁判所に乱入した人々の多くが20代と30代の若者である点、ひいては10代もいたという点に心を痛めた人も多いだろう。 周知のように、米国でも似たような事件が起きた。4年前の2021年1月6日に発生した議事堂乱入事態だ。何のつながりもなかった人々がどこからか集まってきて、共に壁をよじ登るその異様な光景に、米国人も衝撃を受けた。知らず知らずのうちに漸増していた暴力がそのようにしてピーク達した時、一部では極右の没落を予感して暴徒たちをあざ笑ったが、今私たちの目の前にはどんな場面が繰り広げられているのか。トランプ大統領は鮮やかな復活を遂げており、極右勢力は勢いに乗っている。 極右の暴動は単に刑事処罰で解消されるものではなく、緻密な分析と対応を要する危険信号だ。米国で議事堂乱入事件を調査した当時、聴聞会で明らかになった内容は、世界各地で頭をもたげている極右テロを理解するための糸口をいくつか与えてくれる。 第一に、テロに加担する人々はもはや「辺境の急進的な団体」の所属ではなく、社会の主流になった。韓国社会のあちこちに広がっているのだ。伝統的に国内テロを敢行する人たちは理念に傾倒した若者たちか、これといった職業もなく、扶養家族もいない低学歴層だということが集計で明らかになっていた。しかし、このような分析はもはや同時代の極右テロには適用できない。ある意味、平凡な人々が暴力を振るうために集まってくる。ひいては社会のエリート(与党「国民の力」の議員たちを見よ)は中産階級も暴力の行事に加担する。米国では、高学歴者であるほど暴力を容認するというアンケート結果が発表されたこともある。 第二に、テロの対象は過去には理念や議題に基づいて選ばれたが、今は党派に基づいて選ばれ、党派の利益のために暴力が行使される。過去の極右テロは白人至上主義のような明確な理念を掲げて対象を選び暴力を敢行したが、それが必ずしも政党の利害関係と歩調を合わせて進められたわけではなかった。ところが、現在は党派の必要によって暴力の対象が選ばれ、暴力の周期が決まる。例えば、米国では選挙を基点に大小のテロが急増し、選挙が終わればしばらく収まる。それだけでなく、過激デモと暴力を扇動するあらゆる理由が(以前は何の関連もなかったが)今はすべて政党支持と連動する。マスク着用反対、ワクチン接種反対のようなことが党派性と結びついてしまった。 第三に、米国では支持政党にかかわらず、「政治的目的のために暴力を行使できる」と考える人々の割合が高まっている。暴力を実際に行動に移す割合は右派が圧倒的に高いが、これは右派政治家が暴力を扇動し承認するためだ。「自分が支持する政治家は私の暴力を容認するだろう」と信じた時、暴力に加担しやすくなるのは当然だ。むろん、自分の政治基盤のために暴力を煽る行動については、韓国の極右政治家には到底及ばないだろう。内乱の宣伝に加担した極右ユーチューバーたちに旧正月の贈り物を送るというから、まるで「テロする自由」を贈るようなものではないか。このように政治勢力化のために暴力を動員するほど、韓国社会の分裂は深まり、暴力は増加するだろう。 過激な暴力が継続的に展示され拡大すれば、より多くの人が暴力を受け入れるようになる。「私たちにはより戦闘的な愛国者が必要だ」という扇動と、「強力な手段を動員してこそ今の危機を乗り越えられる」という訴えは、テロや白骨団をまるで英雄であるかのように見せる。このように暴走するテロの脅威を防ぐためには、迅速な対応が必要だ。暴力に乗じて自分の利益を追求し、社会を危険にさらしてまで自分の政治生命を延長しようとする政治家には断固たる対処が求められる。そのように無理やり手に入れた「一握りの権力」が果たしてどこまで続くだろうか。暴力を扇動した政治家たちは互いを非難し、分裂し、やがて壊滅するだろう。幸い、私たちには途絶えることのない「広場の光」があり、その光は彼らの「テロする自由」を無力化させるだろうから。 キム・ジョン・ヒウォン|米国アリゾナ州立大学教授(お問い合わせ [email protected] )