尹大統領を内乱首謀罪で現職初の起訴 韓国検察、聴取行えないまま 最長半年、拘束可能に

【ソウル山口卓】韓国検察は26日、「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領を内乱首謀の罪で起訴した。検察は逮捕した尹氏の勾留延長を申請していたがソウル中央地裁が認めず、尹氏の事情聴取を一度も行わないまま起訴に踏み切った。起訴により最長6カ月間、尹氏の身柄拘束が可能になる。現職大統領が起訴されるのは初めて。 検察などの特別捜査本部は起訴に当たり、「これまで捜査した共犯事件の証拠資料などを総合的に検討した結果、起訴が相当だと判断した」と発表。「証拠隠滅の憂慮が解消されていない点などを考慮し、現職大統領の不起訴特権の例外となる内乱首謀罪についてだけ起訴した」と説明した。 沈雨廷(シムウジョン)検事総長は同日、ソウルの最高検察庁で全国の検察幹部を集めて会議を開いた。聯合ニュースによると約2時間50分間、尹氏の起訴の判断や事件処理の方向性について意見が交わされたという。 検察は、23日に高官犯罪捜査庁(高捜庁)から事件の送致を受けたが、尹氏が一貫して取り調べを拒否したため、直接事情聴取できずに捜査は難航。27日までとされる勾留期限を2月6日まで延長するよう2度にわたって申請した。だが、地裁は高捜庁が既に捜査しており、検察が追加で捜査を続ける相当な理由がないなどとして認めなかった。検察は当初の想定よりも早く起訴するか、釈放して在宅で捜査するかの判断を迫られていた。 尹氏は、非常戒厳は統治行為であり内乱罪には当たらないと主張。起訴されて有罪判決が出ても最高裁まで争うとみられる。 尹氏の罷免の可否を判断する弾劾審判は既に憲法裁判所で本格化しており、刑事手続きと同時並行で進められることになる。

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