都市空間にレーザーを打ってメッセージを投影する、サーモグラフィの被写体となり被災地を駆け抜ける、ワックスの彫刻に火を灯し身体で溶かし合う───どれもMESによる芸術行為だ。 MESとは、新井健と谷川果菜絵によるアーティストデュオ。2015年に東京藝術大学で結成され、クラブカルチャーやアートシーンを軸に、ジャンルを横断する多様なスタイルの活動を展開してきた。社会的・政治的な問題からセクシュアリティをめぐるトピックまで、そのモチーフは多岐にわたる。そんな彼らのアクションに通底するのは一体どんなテーマなのだろうか? 2025年で結成10年を迎えるMES。「抵抗」や「ボーダー」といったキーワードを道標に、これまで歩んできたキャリアを振り返ってもらった。