ラリーコースに車進入、競技中止「近くで人に会うため」 妨害容疑で42歳男逮捕、岐阜県警

昨年11月に行われた自動車の世界ラリー選手権(WRC)第13戦のラリー・ジャパンで一般車両がコースに進入し、岐阜県恵那市内の一部区間のレースが中止となった問題で、県警は28日、威力業務妨害の疑いで、愛知県東海市名和町、会社員の男(42)を逮捕した。交通指導課によると、容疑者は容疑を否認している。 逮捕容疑は同年11月23日午前10時30分ごろ、恵那市山岡町の市道で、ワゴン車で係員の制止を振り切ってコースに進入、逆走し競技車両の直前に停車させ、競技を妨害した疑い。捜査関係者によると、任意の調べに「近くで人に会うためだった。妨害するつもりはなかった」といった趣旨の話をしているといい、県警は詳しい動機を調べている。 レースが中止となったのは、恵那市の南部地域を走る予定だった第12区間。同課によると、容疑者はテープを張って規制していた係員を突破しコースに進入、約600メートル逆走してスタート地点に約10分とどまったという。この影響で、43台が走る予定だったが、7台目以降はスタートできなかった。車は本人名義で、同乗者はいなかった。けが人もいなかった。 同課によると、競技関係者が「コースに車が進入している。スタッフが声をかけても移動しない」と通報。実行委員会が同年12月18日に被害届を恵那署に提出し、県警が捜査していた。 ◆実行委、安全対策を再構築 副会長の恵那市長「捜査見守りたい」 WRCを妨害したとして、威力業務妨害の疑いで男が逮捕されたのを受けて、ラリージャパン2024実行委員会の副会長を務める恵那市の小坂喬峰市長は「ファンが楽しみにしていたスペシャルステージがキャンセルになったことは大変遺憾。今後の警察の捜査を見守りたい」と述べた。 ラリージャパンの開催契約が28年度まで続くのを念頭に、実行委会長の太田稔彦愛知県豊田市長は「意図的なコースへの侵入は、二度と起きてはならない。安全対策を再構築し、選手が安心して競技に集中できる環境の提供に努めていきたい」とコメントした。 豊田市ラリーまちづくり推進課によると、実行委は昨年11月25日、罰金5万ユーロ(約800万円)を国際自動車連盟(FIA)に支払った。執行猶予中の10万ユーロ(約1600万円)については保留されており、次の大会までに安全対策を講じ、FIAへリポートを提出するなどして認められれば、免除されることになっている。担当者は取材に「車の運転手への損害賠償請求を予定している」と話した。 (武藤直子)

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