磐田市消防団員が所属する分団会計から現金を着服した疑いがある問題で、磐田署は28日、消火器の売り上げ約34万円を着服したとして、業務上横領の疑いで、2023年度に見付方面隊第1分団長を務めていた同市生まれ、住所不定、風俗店従業員の男(33)を逮捕した。市消防団は同分団の会計には使途不明金が数百万円あったとし、同署は男が私的流用した可能性があるとみて調べている。 逮捕容疑は23年10月中旬から11月ごろまでの間、分団長として管理していた消火器などの売り上げ約34万円を着服した疑い。男は容疑を認めているという。 市消防団によると、男は団員が販売した消火器の売り上げを現金で管理していた。市消防団は24年7月に消火器の売り上げ約90万円が着服されたとして磐田署に被害届を提出していた。 また、容疑者の男は23年1月から24年5月まで、過去の分団員の報酬や地域からの協力金が入った口座を管理。24年度になって分団長が交代した後も約1カ月にわたって口座の引き継ぎに応じなかった。24年5月に引き継ぎが行われた際、例年は数百万円は繰り越される口座残額が数万円になっていることが判明。聞き取りに対し、着服を認め「私的に使った」という旨の説明があったという。関係者によると、使途不明金は最大で1千万円近くに上るとみられる。 ■「信頼損ねた」団長謝罪 容疑者の男、弁済意向示すも完了せず 磐田市消防団員が業務上横領容疑で逮捕されたことを受け、市消防団は28日、市内で記者会見し、門奈良則団長は「市民、住民の信頼を損ねてしまい、大変申し訳ない」と謝罪した。今後、処分を検討する。 市消防団によると、男は2度にわたって200万円を弁済する意向を示したが、実際には振り込まれなかった。両親からは300万円の入金があったが、使途不明金全額の弁済は完了していないという。 通常は別の役員が担当する口座管理を分団長だった男が担っていたことについて、土井雅哉副団長は「1人で自由に出金できるようになっていたことは管理的に問題があった。監査も機能していなかった」と説明した。 着服問題を受けた緊急会計監査で、ほかの方面隊や分団に横領や不正支出は確認されなかったとした。再発防止策として、通帳と通帳印を別々の役員で管理する▽現金管理の上限を10万円とする▽監査を強化するーなどに取り組む方針を示した。