トランプ米大統領、不法移民をグアンタナモに送ると発表 3万人収容の施設建設を指示

アメリカのドナルド・トランプ大統領は29日、不法移民3万人を収容できる施設を、キューバのグアンタナモ米海軍基地に建設するよう命じた。 トランプ氏によると、この施設には「米国民を脅かす最悪の犯罪的な不法滞在者」を収容する。同基地にある軍の厳重警備の収容施設とは別になる。 費用や完成時期は不明。 グアンタナモ基地はすでに長期間、不法移民の収容に使われており、人権団体はこれを批判している。 トム・ホーマン国境問題担当長官はこの日、新たな収容施設について、グアンタナモの既存施設を拡張し、移民税関捜査局(ICE)が運営に当たると説明。米沿岸警備隊が海上で拘束した不法移民を直接、そこに移送する可能性があるとした。また、「最高」の収容基準を適用するとした。 キューバ政府は即座にこの計画を非難。ミゲル・ディアスカネル大統領は、「アメリカの新政府は残忍にも、不法に占領しているキューバ領内にあるグアンタナモの海軍基地に、強制追放した移民を何千人も収容すると発表した。拷問と違法な拘束が行われていることで知られる拘束施設の近くで、それらの人々は収容されることになる」とXに投稿した。 同国のブルーノ・ロドリゲス外相は、「人間性と国際法への侮蔑」を示すものだと述べた。 ■不法移民対策強化の法律に署名 トランプ大統領はこの日の発表を、「レイケン・ライリー法」への署名と合わせて行った。 同法は、窃盗や暴力容疑で逮捕された不法移民を裁判まで拘束することを義務づけるもの。昨年ヴェネズエラ人移民に殺害された米ジョージア州の看護学生にちなんで命名され、先週議会で承認されていた。 ホワイトハウスのイーストルームで行われた署名式でトランプ氏は、「(不法移民の)一部は非常に悪質で、収容する国さえも信用できない」、「だからグアンタナモに送る。(中略)出るのが大変な場所だ」と述べた。 トランプ氏によると、新たな施設によって、アメリカの不法移民の収容能力は倍増するという。 アメリカはこれまでも、グアンタナモの施設を数十年にわたり使用してきた。共和党、民主党を問わず、さまざまな政権が使ってきた。 アメリカに本部を置く団体「国際難民支援プロジェクト(IRAP)」は昨年の報告書で、米政府が不法移民を海上で拘束した後、ひそかに「非人道的」な環境で無期限に収容していると非難した。 グアンタナモ基地にある軍の収容施設では、2001年9月11日の米同時多発攻撃の後、容疑者らが何十年間も拘束されている。その人数は、最も多い時期で数百人に上った。バラク・オバマ氏など歴代の民主党大統領らは閉鎖を目指した。現在は15人が収容されている。 トランプ政権は今後、議会に対し、既存の収容施設の拡張に資金を提供するよう求めると報じられている。 (英語記事 Trump says US will send some migrants to Guantanamo Bay)

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