今季最強寒波の到来を受け、日本海側を中心に全国で大雪の被害が相次いでいる。大雪の際に度々問題となるのが、普段雪が降らない地域のドライバーによるノーマルタイヤの運転だ。ネット上では「ノーマルタイヤでの雪道運転は逮捕するべき」との声も上がっているが、罰則などはあるのだろうか。日本自動車連盟(JAF)にスタッドレスタイヤ着用の基準を聞いた。 北海道の十勝地方や釧路地方では、3日深夜から4日未明にかけ記録的な大雪となり、帯広では12時間降雪量が国内観測史上1位となる120センチを記録した。寒波の影響は今週末まで続く見通しで、気象庁は警報級の大雪に備え、日本海側の広い地域で不要不急の外出を控えるよう呼び掛けている。 災害級の大雪の際、毎年のように話題となるのが、普段降雪のない地域のドライバーによるノーマルタイヤでの雪道の運転。ネット上では「なんで雪予報って分かってるのにノーマルタイヤで来るの?」「この大雪の中ノーマルタイヤで走ってる車いて大渋滞。マジで迷惑」「ノーマルで雪道運転するやつって逮捕できないの?」「『ノーマルタイヤだとやばい?』て聞いてる時点でやめておこうって判断できないなら運転しちゃだめでしょ」など、雪道でスタッドレスタイヤやタイヤチェーンを着用しない運転手の取り締まりを求める声も上がっている。 そもそも、スタッドレスタイヤとはどのようなもので、ノーマルタイヤとはどの程度性能に違いがあるのか。JAFの担当者は「スタッドレスタイヤはノーマルタイヤに比べ、雪道や凍結した道でも、走る・曲がる・止まるといったクルマの基本要素が保たれるように低温でも硬くなりにくいゴムを採用しているのが特徴です」と説明。タイヤが地面に接する部分(トレッド)に細かい溝が刻まれており、タイヤを路面に密着させたり、トレッド部分のブロックの角が雪をひっかくことで生じるエッジ効果によって氷上性能を確保しているという。 雪道でのノーマルタイヤ走行については「各都道府県で違反基準が異なります」。積雪または凍結した路面での冬用タイヤ装着などの防滑措置の規定する「都道府県道路交通法施行細則または道路交通規則」では、沖縄県を除き大型車7000円、普通車6000円、自動二輪車6000円、原付車5000円の反則金を設けているが、スタッドレス着用について全国一律の基準はないという。JAFでもスタッドレスが必要な積雪量の基準などは設けていないとしつつ、「ノーマルタイヤで雪道の走行は大変危険ですので控えるようにしましょう」と注意を呼び掛けている。 さらに、寒冷地ではたとえスタッドレスタイヤであっても、チェーンを装着しなければ通行できない、「チェーン装着車以外通行止」の規制が出る場合も。「しかも、単なる『チェーン規制』といった場合、スタッドレスタイヤの装着のみで通行できるのか、それともチェーン装着が必須となるのか、その判断は現場の状況により異なります」。路面の状況によっては、チェーンなしでは通行できなくなることもあるという。 「寒冷地でクルマを運転する場合は、できるだけチェーンを携行することをおすすめします(車両によっては、その構造上、タイヤチェーンが装着できないものもあります)。また、各都道府県によって積雪、凍結した路面での滑り止め防止装置の装着措置が異なりますので、あらかじめ通過地や目的地に応じて情報を入手しておくようにしましょう」と担当者。慣れない雪道での運転では、万全の備えと事前の情報収集を徹底したいところだ。