罪のない市民を狙った悪質な通り魔事件が日本国内で相次いで発生している。その容疑者の逮捕に貢献しているのが、「リレー捜査」という捜査方法だ。最近のニュースでよく見るけど詳しくは知らない犯罪捜査の最前線を、元埼玉県警捜査1課の警部補で現在はコメンテーターとして活躍する佐々木成三氏に聞いた。 * * * ■リレー捜査とはどのような捜査手法か? 昨年12月の北九州市、今年1月の長野市と相次いで起きた通り魔事件の捜査に「リレー捜査」という手法が用いられた。 これはどのようなものなのか? 元埼玉県警警部補でコメンテーターの佐々木成三氏に聞いた。 「リレー捜査とは、容疑者がどのように犯行現場に来たのかと、そこからどう逃げたのかを、街中にある防犯カメラなどの映像を集めてひとつひとつ精査し割り出す捜査手法です。容疑者が現場に来るまでの経路を『前足』、逃げた経路を『後足』と言います。 防犯カメラの設置台数やドライブレコーダーをつける車の数が増えたことで、この『前足』と『後足』を高精度で割り出すことが可能となり、リレー捜査は警察にとって重要な容疑者特定の手段となりました。 リレー捜査が注目され始めたのは、2018年に渋谷のハロウィンで起きた暴動で、車を破壊した容疑者グループの逮捕に貢献したときです。渋谷に多くの防犯カメラが設置されていたことで警察は容疑者たちの自宅を特定することができ、それがニュースでも報じられました。 このような捜査自体は昔からありましたが、防犯カメラの設置台数が増えたり、性能が上がったりして、リレー捜査が犯罪捜査の手法として有効になったのはここ数年だと言えます。 防犯カメラの解析を専門的に行なう『捜査支援分析センター』(通称:SSBC)が15年頃から全国に設置され始めたこともリレー捜査の普及に一役買っています」