トー横キッズ支援の元代表が逮捕、少女と交わした「婚前契約書」の意味は?

新宿・歌舞伎町の「トー横キッズ」支援団体の元代表が、トー横で声をかけた当時17歳の少女に埼玉県内のホテルでわいせつな行為をしたという容疑で警視庁に逮捕されました。 報道(日テレNEWS)によると、男は、少女を金銭的に支援することを約束し、「婚前契約書」にサインをさせていたそうです。 男はどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。また、婚前契約書を書かせたことは、どういう意味を持つのでしょうか。 ●どんな罪が成立するか 被害を受けたとされる少女は当時17歳とのことです。 同意を得て性交渉やわいせつな行為を行っていた場合には、他の事情にもよりますが、不同意性交罪(刑法177条)や、不同意わいせつ罪(同法176条)は成立しないことになりそうです。 しかし、埼玉県の青少年保護育成条例には違反する可能性があります(同条例19条1項)。 罰則は2年以下の懲役または100万円以下の罰金です(同条例28条)。 ●婚前契約書の意味 報道(日テレNEWS)の画像や報道内容をみると、被害者から提供されたという「婚前契約書」には、「将来の結婚について合意をした」「互いに婚姻の履行に対して、誠実に努力をする」等の記載があるようです。 このような記載からすると、婚約を証明する書類としての意味がありそうです。 本件で、男と少女が婚約関係にあった、とされた場合、先に述べた青少年保護育成条例違反にあたらない可能性がでてきます。 なぜならば、同条例の「みだらな」とは、青少年に対し、心身の未成熟に応じた不当な手段により行う性交や性交類似行為や、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交や性交類似行為をさすと解されています。 そして、婚約中の男女の性交渉等は、このような意味で「みだらな」とはいえないと考えられているからです。 男と少女とが、真剣な交際であることを誓う意味で婚前契約書を作成したのか、それとも、男がこういった条例の意味を理解して、あえて婚前契約書を作成させたのかは、現時点でははっきりしません。 ただし、金銭的な支援を約束する代わりに婚前契約書を書かせた、ということであれば、真剣な交際というのはかなり無理があるように思われます。 そうすると、婚前契約書があっても「みだらな」と認定される可能性はありそうです。

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