2024年9月、伝説のフードファイターが引退した。小林尊、日本とアメリカで“地上最強”と呼ばれた男である。「見世物」だった大食いを「スポーツ」に変えた革命児の内面に迫る。《NumberWebインタビュー/全3回の最終回》 平成の大食いブームで圧倒的な存在感を放った、フードファイターの小林尊(46歳)。昨年秋、因縁のライバルとの対決を最後に、フードバトルの舞台から降りた。小林はそのスター性や実力ゆえに、大会側による“契約問題”のトラブルにたびたび巻き込まれてきた。彼は何と戦ってきたのか――。 ◆◆◆ <最も有名と言っていいほど、アメリカ人の誰もが知っている日本人は小林さん> 昨年秋、菊池雄星(現エンゼルス)がXでこう発信したように、小林と言えば全米では「オオタニ」にも匹敵する有名な日本人アスリートだ。 それもそのはず、小林はニューヨークで毎年、独立記念日(7月4日)に開かれる「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」で6連覇。1916年から続く歴史ある大会は、毎年3万人以上の観客が訪れ、100万人以上が中継を視聴する全米の一大イベントである。小林の人気は、アメリカの国民的アニメ「シンプソンズ」に彼をモデルにしたキャラクターが登場するほどだ。 彼の約24年間の現役生活を紐解くと、米国での活動が10年以上を占め、日本での活動歴はたった1年半ほど。米国での知名度がより高いのもうなずける。それでもなお、日本で“平成の大食いスター”として名を刻んでいることに、彼が与えたインパクトの大きさがうかがえるだろう。