インターネット経由で確定申告ができるe―Tax(イータックス)を悪用し、所得税の還付金約95万円をだまし取ろうとしたとして、愛知県警は17日、会社員石川眞清男(ますお)容疑者(63)=愛知県一宮市大和町馬引=を詐欺未遂の疑いで逮捕し、発表した。県警は認否を明らかにしていない。 石川容疑者はSNSで「楽に稼げる」「節税案件」などとうたう広告を見て「闇バイト」に応募。指示役とやり取りして還付金を詐取しようとしたとみられる。 捜査2課によると、石川容疑者は昨年10月17日ごろ、指示役と共謀し、「所得税約95万円がすでに源泉徴収されており、同額が超過納付されている」などとするうその申請をe―Tax上で行い、還付金約95万円をだまし取ろうとした疑いがある。 指示役は石川容疑者からe―TaxのIDやパスワードの提供を受けた上で、有名企業から架空の業務を受注して所得があるように装うなどし、還付を受けようとしていたという。石川容疑者は約95万円のうち数万円を成功報酬として差し引いた上で、残額を指示役に送金する予定だったとみられる。 一宮税務署側が申告内容の不審点に気づき、県警に告訴していた。 他にも同様の告訴が複数あり、県警は闇バイトを使った組織的な税還付金の詐取が行われているとみて捜査を進める。名古屋国税局は「所得税の不正還付は国庫金の詐取ともいえる悪質性が高い行為。必要に応じて刑事責任追及のための対応を行う」としている。(高橋俊成)