「プレサンス冤罪事件」国賠裁判結審 法廷で検事の“怒号”映像公開

「検察舐めんなよ」「ふざけんじゃないよ」。 昨年12月20日の午後、大阪地裁202号法廷に設けられた大型のスクリーンから広い廷内に怒号が鳴り響いた。取り調べ室で検察官が発した声を記録したものだ。 大阪市の不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんが学校法人の土地売却をめぐる業務上横領罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたが無罪となり、国に賠償金を求めて起こした訴訟(※)の弁論でのことだ。この日は原告代理人の一人、秋田真志弁護士が少し解説した以外は映像上映のみの約40分で閉廷。これで本国賠訴訟は結審となり、3月21日に中間判決が言い渡される。 今回公開された映像は2019年の11月と12月に行なわれた取り調べの模様だ。怒号の主は当時、大阪地検特捜部の検事だった田渕大輔氏で、怒号を浴びたのは山岸氏の部下だった元部長のK氏だ。 同地検特捜部では10年、郵便不正事件に関連した主任検事による証拠改竄事件が表面化していた。この取り調べでは当初、その件を引き合いに「世間に叩かれました」「特捜部って名前だけは偉そうだけど、一番監視の目が強く窮屈な思いをさせられる部署なんです」などと穏やかだった田渕検事だったが、次第に机を叩くなどしながら激高。口を挟もうとするK氏に「反省しろよ。何開き直ってんだ」「命かけてるんだよ、俺たちは。あんたたちみたいに金かけてるんじゃねえんだ」「金なんかより大事な人の人生を天秤にかけて仕事してるんだよ」などと畳みかけた。 閉廷後の記者会見で山岸元社長はこの映像に言及。「見られて錯覚された方も多いと思いますが、Kさんが嘘をついたのではなく、田渕検事が嘘をつかそうとしたのです。特捜部といえどもそれには大変なパワーがいるようですね」と皮肉った。秋田弁護士も「Kさんに対して妻への取り調べもにおわせるなど非常に卑劣な取り調べ」と述べ、特捜部側の意図について「プレサンス社が学校法人に貸しつけた金について情報を社内で共有していたという言質を引き出そうとした。会社として情報共有していなかったら山岸氏の横領にならないからです」などと説明した。

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