青森県八戸市の「みちのく記念病院」の元院長らが逮捕された入院患者間の殺人の隠蔽(いんぺい)事件を受け、県と市は19日、同病院に対し、医療法に基づく臨時の立ち入り検査を実施した。医療従事者の確保状況や医師・看護師が適切に配置されているか、病室が衛生・安全上しっかりした状態か-など医療提供体制を重点的に確認した。必要に応じ繰り返し検査を行う見込みで、宮下宗一郎知事は青森市内で開いた記者会見で「病院が将来にわたり持続可能な形で機能できるかが今後の一番の検査項目になる」と述べた。 2週間前に病院側に通告する定期検査と異なり、19日は午前中に連絡して午後に検査を行う「事実上の抜き打ちのような形」(宮下知事)で実施。市職員5人と県の本庁と出先機関の職員6人の計11人が午後1時15分ごろ、病院正面玄関から入り、検査は同5時過ぎまで約4時間にわたって行った。八戸市保健所によると、資料の確認や、幅広い職種の職員に対する聞き取りを行ったという。 宮下知事は「病院の状況を最優先で把握する必要があり、市と協議して本日の検査になった」と説明。今後の検査について「スピード感を持って対応しなければならない」とし、短いスパンで次の検査を実施する意向を示した。市保健所の北村政則副所長は「数班に分かれて調べており、持ち寄って内容を精査する。(検査の結果について)現時点ではお答えできない」と述べた。 同病院の正面玄関には19日、「21日 外来医師不在のため外来休診となります。今後、金曜日は休診となります(略)大変申し訳ございません」との張り紙が掲げられた。