●宅配便を利用か 覚醒剤を密売したとして、金沢中署や石川県警組織犯罪対策課などの合同捜査班は、関西を拠点とする密売組織を摘発し、覚醒剤取締法違反などの疑いで密売人や客とみられる県内外の数十人を逮捕した。19日、捜査関係者への取材で分かった。顧客は全国にいるとみられ、捜査班で薬物の入手経路など、組織の実態解明を進めている。 捜査関係者によると、密売組織は、数年前から宅配便を利用して違法薬物を届ける手口で密売を繰り返し、利益を得ていた疑いが持たれている。関西在住の男が中心となって覚醒剤を仕入れ、注文を受けていたとみられ、発送役など組織内で役割分担されていたとみられる。 捜査班は、石川をはじめ、全国各地の顧客とみられる複数人を摘発。証拠品の分析などから、密売組織の関与を突き止めた。これまでの関係先の捜索で、覚醒剤などまとまった量の違法薬物、注射器などを押収したという。 背後に暴力団が関与している可能性もあるとみて、覚醒剤の入手ルートや売却先の特定を急いでいる。 ●過去30年で最多、昨年102人摘発 石川県警によると、昨年に覚醒剤使用や大麻所持など薬物事件で摘発された人は前年比24人増の102人と、2020年と並び過去30年で最多だった。SNS(交流サイト)の普及で、違法薬物が入手しやすい環境となり、薬物乱用が広がる温床となっているとの指摘もある。 捜査幹部の一人は「末端の使用者の逮捕にとどまらず、流通ルートの解明、密売人の摘発と突き上げ捜査を進め、背後関係を徹底的に調べる」と話した。