警察官を装う手口の特殊詐欺の被害が急増していることを受け、不動産大手・森ビル(東京都港区)が一役買うことになった。警視庁が作成した啓発動画を六本木ヒルズのデジタルサイネージ(電子看板)で無償で流し、巧妙な犯罪の手口を紹介するというものだ。多くの人に危機感を持ってもらい、家族や友人と話題にしてもらうのが狙いだという。 2024年に警視庁が把握したオレオレ詐欺のうち、警察官をかたった手口は806件、被害総額は約70億円だった。前年の3件、約1600万円から急増した。 警察官を装う人物から電話で「あなたに逮捕状が出ている」と脅され、ビデオ通話で偽の逮捕状などを示され、送金を要求される手口が目立った。高齢者だけでなく、若者を含めた幅広い世代が被害に遭った。 警視庁が作った動画は、こうした手口を細かく解説したもの。同社が3月まで六本木ヒルズの巨大画面で流す。これに先立ち、同社の森浩生副社長が19日、警視庁本部(東京都千代田区)で同庁幹部らと「ストップ!詐欺運動に賛同します」などとする共同宣言を発表した。(吉村駿)