戒厳直前の閣議に「欠陥」「全員が引き留めた」と韓国首相証言 尹大統領弾劾25日結審へ

【ソウル=桜井紀雄】韓国で「非常戒厳」宣布を巡り、内乱首謀罪で逮捕・起訴された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の最初の公判準備手続きが20日午前、ソウル中央地裁で開かれ、刑事裁判が始まった。尹氏側弁護団は、証拠資料を確認できていないとして、起訴内容の認否を留保した。尹氏本人も出廷したが、発言はなかった。 尹氏の罷免の可否を決める憲法裁判所による弾劾審判の第10回弁論も同日午後に開かれ、韓悳洙(ハン・ドクス)首相らが証人出廷した。韓氏は昨年12月の戒厳宣布直前に開かれた閣議について「出席者全員が心配して(尹氏を)引き留めた」と証言。戒厳宣布に必要される閣議自体に「形式的に欠陥があった」との考えを述べた。 憲法裁は25日に指定した次回弁論で結審する方針を示した。3月中旬にも結論を出すもようだ。 公判準備手続きで地裁は2回目の準備手続きを3月24日に指定し、裁判は約13分で終了。尹氏側は戒厳宣布は統治行為で内乱罪に当たらないと主張しており、今後の公判で否認するとみられる。 検察側は内乱重要任務従事などの罪で起訴された当時の国防相らと審理を併合することに反対し、週2、3回の集中審理を行うよう求めた。 地裁は尹氏側が申し立てた勾留取り消しの審査も行った。尹氏側は、内乱罪の捜査権がない捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」による不当逮捕だと釈放を要求。公捜処から事件を引き継いだ検察は、違法性はないと反論した。 尹氏は1月26日に現職大統領として初めて不訴追特権の例外に当たる内乱罪で起訴された。内乱首謀罪で有罪となれば、死刑や無期懲役、無期禁錮が科される。

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