「謝罪の様子を撮影し虐待」3人の共同生活は“陰口”きっかけに暴力、殺害、遺体をチェーンソーで切断する異様な事件に発展か「死なせるつもりなかった」被告の女(33)は殺意否認

2022年、仙台市内の自宅アパートで、交際相手の男と共謀して知人男性を殺害した上、遺体を切断して埋めるなど5つの罪に問われている女の裁判員裁判が6月11日、仙台地方裁判所で始まった。事件からおよそ2年半、改めて浮き彫りとなったのは、犯行の異様さと不可解な人間関係だ。初公判をリポートする。 11日午前10時、仙台地方裁判所で開かれた初公判。開廷すると間もなく山口優被告(33)が刑務官に付き添われ姿を現した。裁判は、事前に傍聴券が配られており、傍聴席はほぼ埋まっていた。 法廷に現れた山口被告は、上下ピンクの長袖、長ズボン。逮捕当時、長く伸び明るく染まっていた髪は黒髪に戻り、肩の辺りまで短くなっていた。満席の傍聴席を見やることもなく、被告人席に座るとただ前を見つめている。感情を押し殺しているようにも見える。今回の異様な事件が発覚したのは、2年半前だった。 ■年の瀬に急きょ開かれた県警の会見 年も押し迫った2022年12月30日。宮城県警は急きょ、記者クラブに加盟する報道各社に会見の開催を通知。そこで発表されたのは「死体損壊、死体遺棄事件」で容疑者2人を逮捕したということだった。 2022年に逮捕されたのが住所不定・無職の山口優被告と交際相手の前田広樹被告だった。2人は前日の12月29日、「話したいことがある。仙台市内で死体を遺棄した」などと青森県の警察署に自首。証言に基づき仙台市若林区荒浜の砂浜を捜索すると遺体が見つかる。被害者・佐藤大貴さん(当時22)の遺体だった。切断された跡があった。2人は2022年12月に死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕、年が明けた2023年1月に殺人の疑いで再逮捕。精神状態などを調べる鑑定留置を経て2023年5月に共に起訴された。 2025年6月11日仙台地裁。独特の緊張感に包まれる法廷で山口被告の公判が始まる。裁判員裁判での審理となる。手続き通り、検察官が起訴状を読み上げると、改めて異様な犯行が浮き彫りになる。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加