米極右団体「プラウド・ボーイズ」の元リーダーが21日、ワシントンの連邦議会議事堂の外で逮捕された。警察が同日、発表した。 エンリケ・タリオ元受刑者は、2021年の連邦議会襲撃事件に絡み、扇動共謀罪などで禁錮22年が言い渡されて服役していたが、今年1月20日、ドナルド・トランプ大統領から恩赦を与えられ、釈放された。 タリオ元受刑者は21日、議事堂の外での記者会見後、ほどなくして逮捕された。 襲撃事件の現場近くで開かれたこの行事を、抗議者たちは妨害しようとしたが、タリオ受刑者は予定通りメディアに向けて発言した。 米議会警察(USCP)の声明によると、行事が終了し、プラウド・ボーイズのメンバーがその場を離れようとした際、1人の女性がタリオ元受刑者の顔の近くに携帯電話をかざした。タリオ氏が携帯電話と女性の腕をたたくのを、複数の警官が目撃したとされる。 行事にはタリオ氏のほかに、同団体のメンバーや、極右団体「オース・キーパーズ」の創設者のスチュワート・ローズ元受刑者も参加していた。ローズ元受刑者も、襲撃事件に絡む扇動共謀罪などで禁錮18年を言い渡された。 ■司法省を訴えると表明、陰謀論繰り返し タリオ氏とプラウド・ボーイズのメンバーはこの日、自分たちの投獄をめぐり、米司法省を訴えるつもりだと発表した。刑務所内の環境が劣悪だったと批判したほか、訴訟を起こすために暗号通貨を使って資金を調達したとも述べた。 2021年の議会襲撃事件には、約200人のプラウド・ボーイズのメンバーが関わった。数十人が逮捕され、有罪となったが、通算2期目のトランプ政権が始動した先月20日に恩赦を与えられて釈放された。 タリオ氏は釈放後、プラウド・ボーイズのリーダーとしての役割を再開するつもりだと示唆していた。しかし、同グループの一部の地方支部は、タリオ氏が再び指揮を執るのを拒否している。 議事堂の外での記者会見中、プラウド・ボーイズに抗議する人々が集まった。タリオ氏は、議会襲撃事件の暴徒は「平和的な抗議者」だったとし、あの日の混乱は「政府によって仕組まれたものにほかならない」との陰謀論を繰り返した。 ■議会襲撃で約1600人が有罪、後に恩赦 襲撃事件では、襲撃に参加した非武装の女性1人が警官に射殺されたほか、事件に対応した警官が翌日、脳卒中で死亡するなどした。 タリオ氏は襲撃事件の前に、ワシントン市内のアフリカ系アメリカ人の教会から持ち去られた「黒人の命は大事だ(BLM)」運動の旗を燃やした容疑で逮捕された。また、同市では違法の大容量の弾倉を所持していたとされた。のちに保釈され、ワシントンを離れるよう命じられた。そのため、襲撃事件当日はワシントンには入れず、ボルチモアで、襲撃の様子をテレビで見ていた。 トランプ氏の支持者らが議会施設を包囲するなか、被告は「ショーを楽しんでいる」とインターネットに投稿した。 さらに、「やらなければならないことをやれ」と書き込み、暴徒たちをたきつけたとされた。 トランプ氏は大統領就任初日の先月20日、タリオ氏やローズ氏など、襲撃事件で有罪とされた約1600人に恩赦を与えた。 (英語記事 Ex-Proud Boys leader arrested outside US Capitol)