みのもんたさん 記者が見た酒豪伝説 銀座、祇園で粋に遊んで時代をキャッチ 高齢者となっても…

【悼む】「日本一忙しいテレビ司会者」と言われたタレント、みのもんた(本名御法川法男=みのりかわ・のりお)さんが1日未明、死去した。80歳。東京都出身。死因は明らかにされていないが、2019年にパーキンソン病と診断されていた。葬儀・告別式は故人の意向で近親者のみで執り行う。お別れの会を開く予定はないという。 数知れない酒豪伝説の持ち主だったみのさん。 記者は1度、京都・祇園での豪遊を見学させてもらったことがある。芸妓(げいぎ)さん、舞妓(まいこ)さんを傍らに豪快に杯を進め、自身の失敗談を面白おかしく語り、華やかな酒席を盛り上げていた。 銀座では高級クラブをはしご。「2、3人で一晩にボトルを7本空けたこともある」とも話し、高級ブランデーをクラッシュアイスの入った大きなグラスに注いでグビグビ飲んでいたが、酔わずにケロッとしていた。夜の街で“太客”なのは間違いなく、インタビュー取材に行くと毎回ママさんたちからの電話がひっきりなしに鳴った。「はい。もしもーし」。1件ずつ優しく応じる姿は“飲みニケーション”で鍛え抜いた昭和の第一線のおじさまだった。 そんなみのさんが弱音を漏らした日があった。「僕は時代に合わなくなってきたのかもしれないね」。2021年3月、読売テレビ「朝からみのもんた」(関西ローカル)が半年で終了。レギュラーゼロになった時のことだ。「みんなの話についていけないんだよ」。06年に司会者としてギネス世界記録に認定されたほど時代の寵児(ちょうじ)だった。だが13年9月、次男が逮捕されていたことが判明後、次々と番組を降板した。 寂しげだった顔が忘れられず、後日、会長を務める水道メーター会社を訪ねた。すでにパーキンソン病が判明。心配しながら会長室を開けると笑顔が戻っていた。 「落ち込んだ日もあったけれど、じっくり考えた。今後は病気とうまく付き合って人生を豊かにしたい。ドクターストップがかかっていないから、お酒も飲んでいる。銀座にも行っているよ」 祇園や銀座で粋に遊び、時代をつかんできたみのさん。「病気とともに生きる姿を見せるのも役割かなって。求められればアナウンサーの仕事もやりたい。おやじが死んだ92歳まで生きたいな」。高齢者となった今、その生きざまを当事者として伝えようとしていた。道半ばでの旅立ちが残念でならない。(鈴木 美香)

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