犬猫の繁殖業者やペットショップの飼育環境を改善し、悪質業者を淘汰(とうた)するために、具体的な数値規制を盛り込んだ「飼養管理基準省令」が2021年6月、段階的に施行され始めた。その矢先に、飼育していた400匹以上の犬を虐待したとする、繁殖業者による大規模な動物虐待事件が発覚した。「アニマル桃太郎事件」だ。 行政はなぜ機能しなかったのか。制定以来5度目となる動物愛護法の改正議論が進み始めている今、「真に動物を守れる」法律であるために、どのような規制や制度が求められているのか。 取材を続けてきた朝日新聞社の太田匡彦記者の著書『猫を救うのは誰か ペットビジネスの「奴隷」たち』(朝日文庫)から一部を抜粋・編集し、紹介する。