福岡県知事や全国知事会長を務めた麻生渡(あそう・わたる)さんが15日、病気のため死去した。85歳。 北九州市戸畑区出身。京都大法学部を卒業後、旧通商産業省(現経済産業省)に入省。特許庁長官を最後に1994年退官した。革新県政3期で行き詰まった奥田八二知事(2001年に死去)の引退表明を受け、保革相乗り候補として95年の知事選で初当選。以後、自民、公明両党や連合福岡などの推薦、経済界からの支持を受けて着実に再選を重ねた。 旧通産官僚だった経験を生かして「北部九州自動車150万台生産拠点構想」など自動車産業を中心とした経済振興を積極的に推進。水素エネルギーや、がん治療の研究拠点の整備など新産業創設にも目配りした。05年からは3期連続で全国知事会長を務め、地方分権推進の顔の一人として政府との交渉の先頭にも立った。 一方、就任以来積極的だった福岡空港の新設移転は断念し、増設案を選択。4期目途中の10年2月には、10年間重用してきた元副知事が収賄罪で逮捕、起訴(後に有罪確定)された。関係が良好だった県議会からも、任命責任や多選の弊害を問われ厳しい立場に置かれ、10年10月に5選不出馬を表明した。 12年6月から4年間、福岡空港のターミナルビルを運営する福岡空港ビルディングで社長を務めた。17年には旭日大綬章が授与された。