中国がカナダ人4人の死刑執行、カナダ発表 違法薬物犯罪で

カナダ当局は19日、中国でカナダ人4人が今年になって、違法薬物関連の罪で死刑を執行されたと発表した。両国の関係は長年緊張しており、専門家らはさらなる悪化を懸念している。 カナダのメラニー・ジョリー外相は、死刑が執行された4人は全員、二重国籍者で、身元は伏せられていると説明した。 また、この件については何カ月も「非常に注意深く」状況の把握に努めてきたとし、ジャスティン・トルドー前首相ら政府高官とともに、死刑執行の取りやめに向け努力してきたと述べた。 一方、中国外務省は20日、同国が「法律にのっとって」対応したとした。 在カナダ中国大使館の広報担当は、4人の犯罪に関して「確実かつ十分な」証拠があると主張。「当該のカナダ国民の権利と利益を(中国は)完全に保証してきた」とした。 また、カナダ政府に対し、「中国の司法権」を尊重し、「無責任な発言をやめる」よう求めた。 中国は、違法薬物、汚職、スパイなどの重大犯罪に対して死刑を科している。死刑執行の件数は明らかにしていないが、人権団体は中国を、世界最多レベルの死刑執行国とみている。 中国は二重国籍を認めていないが、外国籍をもつ人に対する死刑執行はまれ。 ■死刑判決のカナダ人は他にも 人権団体「アムネスティ・インターナショナル・カナダ」のケティ・ニヴィアバンディ氏は、「カナダ国民に対する中国当局の衝撃的で非人道的な処刑を、カナダは警鐘として受け止めるべきだ」、「中国が死刑囚として収容している、あるいは中国の刑務所システムで所在が不明となっているカナダ国民の家族たちにも、私たちは思いを寄せている」と述べた。 2019年には、カナダ人のロバート・ロイド・シェレンバーグ被告(当時)が違法薬物を密輸した罪で中国で死刑判決を受け、カナダ政府が非難している。同氏は今回死刑が執行されたカナダ人には含まれていない。 ジョリー外相は19日、「私たちは強く非難するだけでなく、同じような状況に直面している他のカナダ人についても、寛大な対応を求め続ける」と述べた。 カナダと中国の関係は2018年以来、冷え込んでいる。カナダが同年、アメリカの身柄引き渡し要求に基づき、中国の通信会社幹部の孟晩舟氏を拘束したのがきっかけだった。中国は直後にカナダ人2人を逮捕した(2人はともに釈放された)。 2023年にはカナダのメディアが、同国の連邦議会選挙に中国が介入した疑いがあると、主にリークされた情報に基づいて報じた。中国は報道内容を否定し、「根拠がなく中傷的だ」とした。 最近もカナダが、中国から輸入される電気自動車、鉄鋼、アルミニウムに課税。中国は報復として、カナダの農産物や食品に関税を課した。 (英語記事 China executed four Canadians for drug crimes, says Ottawa)

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