八尾市の集合住宅で2月、コンクリート詰めにされた女児の遺体が発見された。府警は今月21日、めいにあたる女児に暴行し殺害したとして、当時同居していた男(41)を殺人容疑で逮捕した。子供が保護者らの虐待により命を落とす事件が後を絶たない。 神戸市西区の草むらで令和5年6月、男児=当時(6)=の遺体が入ったスーツケースが見つかった事件では、近隣の人々が日頃から男児の泣き声を耳にしていたという。事件直前もベランダで泣き叫ぶ姿が目撃されていたが、保護につながらなかった。 虐待が疑われる家庭への訪問や安否確認の徹底が重要との認識が広く浸透するにつれ、行政側の対応は改善されつつある。こども家庭庁によると、全国の児童相談所が対応した令和5年度の児童虐待相談件数は22万5509件に上り、過去最多を更新した。 だが、コンクリートやスーツケースだけでなく、公衆トイレやコインロッカー、高温の車内などから子供の遺体が見つかり、度々ニュースになる。家庭環境や境遇は選べないという意味の「親ガチャ」という言葉があるが、子供を救う仕組みは万全とは言い難い。 所在が確認できない「消えた子供」の実情に詳しいジャーナリストの石川結貴(ゆうき)さんは、虐待が疑われる家庭に気付いた場合、匿名で情報提供できる児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」の利用を訴える。この番号は覚えておきたい。多くの子供に暖かい春を感じてほしい。(土屋宏剛)