ディカプリオら著名人が890億円出資の「気候テック」新興が破産申請

サンフランシスコを拠点とするカーボンクレジット販売企業のCTNホールディングスが3月30日、連邦破産法第11章の適用を申請した。かつてはデジタル銀行の「アスピレーション」として知られた同社は、提出書類によると約1億7000万ドル(約254億円)の未払い債務を抱えており、税務上の累積赤字が5億8000万ドル(約870億円)に達しているとされる。 2013年に起業家のアンドレイ・チェルニーとジョセフ・サンバーグらが設立したアスピレーションは、環境に配慮したデジタル銀行として始動し、消費者向け銀行口座やグリーン投資商品を提供していた。2021年に評価額が23億ドル(約3440億円)に達した同社は、俳優のレオナルド・ディカプリオやラッパーのドレイク、ロバート・ダウニー・ジュニア、さらに元マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマーなどの著名人から総額約6億ドル(約890億円)を調達していた。 だが、デジタルバンク事業の成長が鈍化すると、同社は企業向けにカーボンクレジットを販売する事業へと大きく軸足を移していた。企業は、カーボンクレジットの購入を通じて、植林などの大気中の二酸化炭素(CO2)を除去する取り組みに資金を提供することで、自社の事業が環境に与える悪影響を相殺することができる。アスピレーションのカーボンクレジット事業の顧客には、スティーブ・バルマーが所有するNBAのロサンゼルス・クリッパーズやメタが含まれていた。 その後、CTNに社名を変更した同社は、今年の初めまでは共同創業者のサンバーグに関連する組織から資金提供を受けていた。だが、3月初旬に彼は、CTNの株式を担保にして借りた2件の個人ローンに関連し、少なくとも1億4500万ドル(約220億円)の投資家詐欺を共謀したとして刑事告発され、逮捕された。破産申請書類によれば、サンバーグに関係する投資家らは今年2月にCTNへの資金提供を打ち切ったため、CTNは事業の継続に必要な資金を確保するのが困難になった。 サンバーグの容疑は、あくまで彼の個人的行為に関するものであり、CTN自体は関与していないと提出書類は述べている。 CTNは、今後45日以内に資産をオークションにかけ、債権者への返済に充てる予定だ。同社の再建責任者であるCR3パートナーズのマイルズ・スタグリクによると、CTNの経営陣はサンバーグの不正行為について知らなかったという。また、スタグリクは、サンバーグが現在CTNにおいていかなる役職や関与も持っておらず、「一切関与していない」と述べている。 CTNの最大の債権者は、スティーブ・バルマーが所有するロサンゼルス・クリッパーズとフォーラム・エンターテインメントであり、両社はそれぞれ3000万ドル(約45億円)と1100万ドル(約16億5000万円)をCTNに貸し付けている。 CTNは、アスピレーションから社名を変更した2024年4月に、アスピレーションのデジタル銀行のブランドをミッション・ファイナンシャル・パートナーズに売却していた。ミッション・ファイナンシャル・パートナーズの広報担当者は、「当社はCTNホールディングスとは無関係であり、当社のグリーン金融商品群はこの破産申請やそれに関連する一切の法的問題の影響を受けない」と述べている。

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