米大統領特使、プーチン氏と会談 ウクライナとの停戦促す

デアヴァル・ジョーダン ドナルド・トランプ米大統領の中東特使スティーヴン・ウィトコフ氏は11日、ロシア・サンクトペテルブルクでウラジーミル・プーチン大統領と会談した。 トランプ氏はロシアに対し、ウクライナでの停戦へ向けて「動き出す」よう求めている。 クレムリン(ロシア大統領府)によると、会談は4時間以上にわたり、「ウクライナ和平のさまざまな側面」について話し合われた。ウィトコフ氏がプーチン氏と会談するのは、今年に入り3回目。ロシア政府の特使、キリル・ドミトリエフ氏は、「生産的」な会談だったと述べた。 トランプ大統領は和平交渉の停滞について不満をあらわにしており、11日にはソーシャルメディアに、「ロシアは動き出さなくては。あまりに大勢が毎週何千人も、恐ろしく無意味な戦争で死んでいる」と投稿した(訳注:太文字は原文ではすべて大文字)。 プーチン大統領とウィトコフ特使の会談を前に、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、「関係正常化のプロセスが進行中」なので、「目覚ましい進展を期待する必要はない」と述べた。 プーチン氏とトランプ氏の首脳会談の日程は協議に含まれるかとの質問に対し、ペスコフ氏は「様子を見よう。ウィトコフ氏の提案次第だ」と答えた。 これに先立ち、ウィトコフ氏はサンクトペテルブルクのグランドホテルヨーロッパで、ドミトリエフ特使と会談した。同じホテルでは、ステンレス鋼とロシア市場に関する会議を開かれていた。 ドミトリエフ特使は、ロシア政府系ファンド「ロシア直接投資基金」のトップ。今月2日にワシントンを訪問し、ロシアが2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始して以来、アメリカを訪れた最高位のロシア政府高官となった。 欧州諸国は同日、ウクライナに210億ユーロ(約3兆4200億円)の軍事援助を提供すると合意した。ウクライナの防衛を協議するため、ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部に集まった欧州各国の国防相たちは、戦争終結の兆候は見られないと述べた。 ■ゼレンスキー氏は故郷で弔問 一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日、故郷の中部クリヴィー・リフを訪れ、今月4日にロシアのミサイル攻撃を受けた現場を弔問した。この攻撃では子供9人を含む19人が死亡した。 ゼレンスキー大統領は、攻撃で亡くなったヘルマン・トリポレツさん(9)、アリーナ・サモディナさん(7)、ラディスラフ・ヤツコさん(7)の写真に花を手向けた。 その上で大統領は、クレムリンが戦争を長引かせていると非難し、数百人の中国人がロシア軍の側で戦闘に加わっていると述べた。大統領は8日に、ウクライナ軍が東部ドネツク州でロシア軍と共に戦う中国人2人を捕らえたと発表している。 ゼレンスキー大統領は「少なくとも数百人の中国人がロシア占領軍の一員として戦っているという情報がある」、 「つまりロシアは明らかに、中国人の命を使ってでも戦争を長引かせようとしているという意味だ」 と述べた。 大統領はさらにソーシャルメディアでクリヴィー・リフ訪問について報告し、「人命と都市を守る」防空システムの必要性を改めて強調した。 「我々はトランプ大統領とこの件について話し合った。ウクライナはお願いしているだけではなく、こうした追加システムを購入する用意がある」、 「ロシアのような隣国がある場合、命を守るために本当に頼れるのは強力な兵器だけだ」と、ゼレンスキー氏は書いた。 トランプ大統領は就任前まで、ウクライナとロシアの紛争を「24時間以内」で終結させることができると繰り返し主張していた。11日にはあらためて、ロシアがウクライナ全面侵攻を開始した際に自分が大統領だったなら、そもそも戦争は起きなかったとソーシャルメディアで強調した。 「決して起きるべきでなかった戦争で、私が大統領だったら起きなかった!! !」と、トランプ氏は書いた。 今年 2月にアメリカとロシアの当局者はサウジアラビア・リヤドで、侵攻以来初めて対面の高官級会談を行った。両国の当局者らは、外交関係の完全回復についても協議を重ねている。 トランプ大統領は2期目開始以来、ゼレンスキー大統領との関係が悪化。2月末にはホワイトハウスの大統領執務室で激しく口論した。 アメリカは、黒海を舞台にしたウクライナとロシアの間の限定的な停戦を仲介しようとしたものの、隣国を全面侵攻したことに対する制裁解除をクレムリンが求めたため、停戦は行き詰まった。 トランプ大統領はその後、ウクライナとモスクワの停戦合意が進展していないことについてプーチン大統領に対して「腹を立てて」「むかついている」と述べた。 他方で米ロ両政府は10日、収監者の身柄を交換。ロシア系アメリカ人のクセーニャ・カレリナ氏は、2022年2月に戦争が始まった際にウクライナの慈善団体に51ドルを寄付したとして、ロシアで懲役12年の判決を受けていた。 ロサンゼルス在住のカレリナ氏は10日午前に開放された。 引き換えにアメリカ政府は、2023年にキプロスで逮捕されたドイツとロシアの二重国籍を持つアルトゥル・ペトロフ氏を解放した。 ペトロフ氏は、ロシア軍と協力するメーカーに、超小型電子部品を違法に輸出したとして訴追されていた。 (英語記事 Witkoff meets Putin as Trump urges Russia to 'get moving' on Ukraine ceasefire

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