電通依存のツケを払う万博、頼みの吉本興業も背を向け「もはやどこかの地方博」との声

大阪・関西万博が4月13日、開幕する。約160カ国が参加し、10月13日までの184日間、大阪湾の人工島「夢洲」で開かれる国家イベントだが、準備段階では、会場建設費の増大、工事の大幅な遅れ、前売り券の販売不振など迷走が目立った。開幕直前のテストラン(予行演習)では無料招待された約10万人から賛否の声が上がったが、実際のところはどうなのか。 昨年8月刊行の検証本『大阪・関西万博「失敗」の本質』(ちくま新書)の著者らが実情を掘り下げる。第2回は、ノンフィクションライターの西岡研介氏が「機運醸成」がつまずいた原因を解説する。 ■ 前売りは目標の6割、世論調査でも不人気続く 大阪・関西万博の開幕を1週間後に控え、4月4日から3日間行われた予行演習「テストラン」。無料招待された協賛企業関係者や大阪府民ら約9万8000人が参加したが、「並ばない万博」を掲げているにもかかわらず、入場ゲートや予約なしで観覧できる企業パピリオンでは長蛇の列ができるなど、さっそく課題が露呈した。 その一方、参加者が楽しそうに会場をめぐる様子は連日、在阪の新聞やテレビで報じられ、ここへ来てようやく開催機運が高まってきたかにも見える。参加者のうち4万人は抽選で選ばれた府民だが、定員の9倍近い約35万人の応募があったといい、地元での盛り上がりもうかがわせた。 だが、政府や大阪府・市、民間企業でつくる万博の運営主体、「2025年日本国際博覧会協会」(万博協会)の関係者は浮かない表情でこう語るのだ。 「協会の副会長でもある吉村(洋文・大阪府)知事は、35万人の応募に『多くの方が万博に期待している』と喜んでいました。でも多くの応募があったのは、はっきり言ってタダだから。依然として前売り券の売り上げは低空飛行を続けており、地元・大阪はともかく、全国的に機運が盛り上がっているとは、とても言えません」 万博協会が発表した最新の前売り券販売状況は約870万枚(4月2日現在)。目標としていた1400万枚のやっと6割で、うち700万枚は企業の買い取り分だ。個人販売は、ネット購入の複雑さや協会の個人情報保護方針への疑念もあって、低調が続いている。 さらに、報道各社の世論調査が万博協会を震撼させたという。共同通信が3月23日に配信した調査結果によると、大阪・関西万博に「行きたいとは思わない」とする回答は74.8%に上り、「行きたいと思う」の3倍に達した。同時期の産経新聞とFNNの合同調査では、「全く行きたくない」「あまり行きたくない」が合わせて68%、時事通信の調査では「行きたいと思わない」が65.3%だった。

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