京都府は、2023年度に府内で確認された高齢者虐待の状況をまとめた。虐待件数は727件で、最多だった22年度に次いで2番目に多かった。介護疲れによるストレスが要因とみられるケースが多いといい、府は「家族の負担軽減を図らなければいけない。介護保険の利用周知などに努める」としている。 家庭内で虐待を受けた人は724人(前年度比12人減)で、性別では女性が73・5%を占めた。虐待を受けたのは要介護や要支援の高齢者が527人と多く、9割近い633人は同居者から虐待されていた。加害者は息子の32・0%が最も多く、夫29・5%、娘17・6%、妻11・9%と続いた。 虐待の種別では、暴力行為などの身体的虐待が463件と最多で、暴言などの心理的虐待が267件、放棄・放任が141件、経済的虐待が66件、性的虐待4件だった。 施設・事業所での虐待は3件増の21件。場所は特別養護老人ホームが大半で身体的虐待14件、心理的虐待7件、経済的虐待2件、放棄・放任1件だった。与謝野町の特養では入所者の飲み物に漂白剤を混入したとして介護職員が逮捕、起訴されたケースもあったという。 相談・通報件数は93件で前年度から30件増と大幅に増えた。虐待防止に向けた取り組みの実施が21年度から全ての介護サービス事業所に義務付けられ、従業員の意識の高まりや組織内部での実態把握が進んだことなどが背景にあるとみられる。 府高齢者支援課は「今後支援が必要になる高齢者はさらに増加することが予想され、見守りを含めた支援体制の強化が必要になる」とした。調査は高齢者虐待防止法に基づき、06年度から厚生労働省が毎年実施している。