2025年大阪・関西万博によってインバウンド(訪日客)のさらなる増加が見込まれる中、無許可でタクシー営業をする「白タク」行為が横行し、関係当局が警戒を強めている。無保険などのリスクがあるが、ライドシェアが普及する海外の人は白タクへの抵抗感が少ないとされる。目立つのは乗客と交流サイト(SNS)を介してやり取りする手口。配車から支払いまでがインターネット上で完結すれば発覚しにくく、警察は観光地などでの取り締まりに力を入れる。 今月13日の開幕以降、万博会場のほか、大阪や京都の観光地を多くの外国人が訪れている。盛況ぶりの一方で、国土交通省近畿運輸局は白タクの増加に懸念を募らせる。 道路運送法はタクシー営業に国の許可が必要と規定。タクシーが緑のナンバープレートなのに対し、白タクは許可を得ずに白ナンバーの自家用車を使って有償で客を運ぶ違法行為を指す。 同局などによると、海外ではスマートフォンアプリなどを介し、自家用車で有償送迎するライドシェアが普及。中国では2016年に、「配車サービス」として自家用車で客を有償輸送するビジネスが合法化された。昨年4月からは日本でもライドシェアが解禁されたが、タクシー会社の管理下にあり、運行時間も夜間に限定されるなど海外とは事情が異なる。 こうした背景もあり、違法な白タクに違和感を抱かない外国人は少なくないとみられる。同局の担当者は「インバウンドが増える時期に必要に応じて啓発活動を行い、周知に努めたい」と話す。 白タクはインバウンドの増加とともに各地で目立つようになった。飲酒運転防止のチェック態勢が整備されていないなど安全面のリスクがある上、事故時の保険がないことでトラブルとなる可能性もある。人気観光地では客待ちのために複数台が並び、長時間駐車するケースも確認されており、事故を誘発する危険もある。 タクシー大手のエムケイ(京都市南区)の担当者は「平成27年ごろから京都駅などで白タクとみられる車両を頻繁に見かけるようになった」と証言。白タクは正規のタクシーよりも料金が安いとされ、業界にとっても深刻な問題となっている。 警察当局は取り締まりに力を入れるが、立件には運賃の受け渡しなどを立証する必要がある。検問で不審な車両を発見しても、「友人を送迎している」などとかわされることもあるという。