16歳で母親を手にかけた男は、面識のない姉妹宅に向かい…25歳で死刑執行された男の裁判記録に残る後味の悪さ

人間にとって一番怖いものはなにか。それは人間かもしれない。ノンフィクションライターの小野一光さんは、大阪市で起きた「大阪姉妹殺人事件」の取材を続けてきた。判決からわずか2年で死刑が執行された凶悪犯の生涯とは――。 ■犯人が警察に語った信じられないひと言 大阪のマンションで姉妹が殺害された。 その一報を受けて、現場に入ったのは2005年11月のことだ。 被害に遭ったのは大阪市内の飲食店に勤める町田由美さん(仮名、当時27)と町田清香さん(仮名、当時19)の姉妹。どちらも飲食店で働きながら、姉の由美さんは友人とブライダル関係の会社を開業する準備をしており、妹の清香さんは看護専門学校への入学資金を貯めようとしているところだった。 11月17日午前3時頃に、マンション4階の一室を火元として火災報知器が鳴り、通報を受けた消防が駆けつけた。消火活動によって、室内のソファと周辺の火はすぐに消されたが、近くで血まみれになった2人の若い女性の遺体が発見されたのである。そしてすぐに遺体の身元は、この部屋に住む町田さん姉妹であることが判明したのだ。 事件が起きてから18日後の12月5日、大阪市内の路上で身柄を確保されたのは、住所不定・無職の山地悠紀夫(当時22。09年7月に死刑執行)。その場で自分の名前を呼びかけてきた刑事に対し、彼は「完全黙秘します」とだけ答えている。 その後の取り調べでは、建造物侵入は認めたものの、殺人については否認していた山地だったが、12月18日には殺人を認め、「人を殺すのが楽しかった」と話し、送検される車内では、報道陣のカメラに向かって笑みを浮かべていた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加