《ブラジル》ブラジル文学アカデミー新メンバー=ミリアン・レイトンを選出

ジャーナリストで作家のミリアン・レイトン氏(72歳)が4月30日、今年2月に逝去した映画監督カカ・ジエゲス氏の後任として、ブラジル文学アカデミー(ABL)の第7席に選出された。レイトン氏はメンバー34人による投票のうち20票を獲得し、当選を果たしたと同日付アジェンシア・ブラジルが報じた。 対立候補は経済学者で元教育相のクリストヴァン・ブアルキ氏で14票だった。レイトン氏はABL史上12人目の女性メンバーとなり、在籍中の女性としては5人目となる。 同アカデミーは1897年にフランスの同アカデミーに倣って、ポルトガル語とブラジル文学育成を目的に設立され、40人の生涯メンバーによって構成され、リオ市に本拠を置く伝統組織だ。 ABL現会長でありジャーナリストのメルヴァル・ペレイラ氏は、「ミリアン・レイトン氏はABLの一員としての資格を完全に備えており、その行動力は極めて高く、関心分野も非常に広範だ。彼女は女性で、フェミニストでもある。我々は女性メンバーの数を増やす必要があり、今回の選出は絶好の機会となった。様々な分野でのアカデミーの活動拡大において、彼女は大貢献するだろう」と語った。 メンバーのロジスカ・ダルシー氏も歓迎の意を示し、「すべてのメディアで活躍し、全国的なジャーナリストである彼女の選出は、まさに相応しい。今回の選挙は、民主的な選出による民主主義者の勝利であり、祝福に値する。候補者はいずれも優れており、レイトン氏の加入はアカデミーにおける女性の存在感を一層強める」と述べた。 作家でメンバーのルイ・カストロ氏も「アカデミーは〝言葉〟を扱う場であり、ミリアン・レイトン氏はまさに〝言葉の実践者〟だ。重要紙のコラムニストとして、彼女は日々、公共空間において言葉を用い、行動してきた。今のアカデミーには、そのような存在が必要とされている」と評価した。 レイトン氏は1953年、ミナス・ジェライス州カラチンガに生まれ、12人兄弟の6番目として育った。ジャーナリズムの道に進み、エスピリトサント州を皮切りにブラジリア、サンパウロ市を経て、1986年にリオ市に定住した。職業人生は50年を超え、経済や政治分野を中心に新聞、テレビ、ラジオ、デジタルメディアで活躍してきた。現在はメディア大手グローボに所属し、『オ・グローボ』紙のコラムニストを務めるほか、『ボン・ヂーア・ブラジル』『グローボニュース』『CBN』などで解説を行い、インタビュー番組『ミリアン・レイトン・グローボニュース』の進行役も務めている。 著作も多く、ノンフィクション、エッセイ、小説、児童書など多様なジャンルで16冊を刊行。1972年、19歳で妊娠中だったにもかかわらず、軍事独裁政権への反対活動により逮捕されて拷問を受けた経験を持ち、以後も社会的な発言を続けてきた。現在は政治学者のセルジオ・アブランシス氏と結婚して、2人の息子と1人の継子、4人の孫がいる。 一方で、今回の選出には懸念の声もある。同日付ブラジル247によると、レイトン氏は長年にわたりグローボに所属しており、同社と関係の深いジャーナリストのメルヴァル・ペレイラ氏もすでにABL会員となっている。これにより、国内最大のテレビ局グローボ出身者がABL内に2人並ぶという異例の事態となった。 こうした状況をめぐり、一部では、ABLが本来の目的であるポルトガル語と言語文化の振興、ならびに多元的な文学活動の支援という使命から逸脱しつつあるのではないかとの懸念も出ている。メディアの影響が文化的機関にまで及ぶことにより、象徴的な独立性が損なわれる恐れがあり、ABLが企業メディアの「別館」と化すとの批判も一部で上がっている。

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