(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎) またしても神奈川県警か! 過去の教訓はどこへいったのか? それどころか同じ轍を踏む浅ましさに辟易する。 川崎市の住宅から20歳の女性の遺体が発見され、元交際相手の27歳の男性が逮捕された事件。女性は元交際相手からストーカー行為を受けていて、神奈川県警に相談していた。 この事件を知って、私の脳裏に浮かんだのは、いまから30年前に明らかになった、オウム真理教が引き起こした坂本弁護士一家殺害事件をめぐる神奈川県警の捜査対応だった。 ■ 容疑者宅の床下から遺体 まず、今回の川崎の事件について振り返る。 報道によると、一部白骨化した遺体で見つかった岡崎彩咲陽さん(20)は、働いていたバーで客として知り合った白井秀征容疑者(27)と昨年の春頃から交際を始める。それがすぐに暴力を受けるようになり、9月には警察に「刃物を向けられた」などとして被害届を出したものの、その後、取り下げている。届を取り下げるように白井容疑者から脅されたからだと親族は話している。 それからも警察にストーカー被害の相談を複数回していて、警察は白井容疑者から話を聞き、口頭で注意していたという。そして昨年の12月9日から、行方がわからなくなる12月20日までの12日間に、9回も警察署に電話をかけていた記録が残っている。