38年前の中3殺害事件、再審認める決定 名古屋高裁金沢支部が判断

福井市で1986年に中学3年の女子生徒(当時15)を殺害したとする殺人罪で懲役7年の判決が確定し、服役した前川彰司さん(59)の第2次再審請求で、名古屋高裁金沢支部(山田耕司裁判長)は23日、裁判をやり直す再審を認める決定を出した。 前川さんは86年3月19日午後9時40分ごろ、市営住宅の一室で、留守番をしていた女子生徒の顔や首、胸を刺すなどして殺害したとして逮捕・起訴された。事件があったのは女子生徒が中学を卒業した日で、刺し傷は五十数カ所にのぼった。 前川さんは「被害者と会ったこともない」と捜査段階から一貫して無罪を主張。指紋や足跡など犯行を裏付ける物的証拠はなく、「血の付いた前川を車に乗せた」「かくまった」という知人らの供述の信用性が最大の争点になった。 90年の福井地裁判決は知人らの証言に「異常な変遷がある」などとして無罪としたが、名古屋高裁金沢支部は「証言の根幹は一致している」として有罪と判断。シンナー乱用による心神耗弱を認めて懲役7年とし、97年に最高裁で確定した。 前川さんが出所後の2004年に高裁金沢支部に再審請求をしたところ、同支部は11年、再審開始を認めた。証言通り「相当量の血痕」が車内にあれば血液反応が出るはずが、検出されていないのはおかしいとする弁護団の実験結果を重視した。だが高裁は13年に実験の前提条件に疑問を呈し、決定を取り消した。

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