外国人が母国の運転免許を日本の免許へ切り替えられる「外国免許切替(外免切替)」制度の「穴」が問題視されている。警察庁は知識確認(筆記試験)の問題数を増やすことや、住所確認を厳格化する方向で、制度の見直しを検討している。 外国人が日本で車を運転しようとする場合、日本の運転免許証を取得するか、国際運転免許証を所持するのが主な手段となっている。そして、外国人が日本の運転免許証を取得する場合、母国の運転免許証を日本の免許証に切り替えられるのが外免切替の制度だ。 国際運転免許証はの利用は道路交通に関する「ジュネーブ条約」に加盟する必要があり、未加盟のベトナムや中国、ネパールなどが外免切替制度を利用しているという。免許証の有効期間の関係からジュネーブ条約加盟国の外国人もこの制度を利用する場合もあるとされる。 警察庁によると、令和5年に外免切替で免許を取得した約6万人のうち最も多かったのはベトナムからが1万5807人で次いで中国からが1万1247人だった。埼玉県三郷市の小学生ひき逃げ事件で逮捕された中国籍の鄧洪鵬容疑者(42)も外免切替で日本の免許を取得していた。 外免切替は、一部免除国を除き、知識確認や技能確認の「試験」が行われるが、在留カードを持っていなくても、宿泊先の滞在証明さえあれば試験を受けられる。旅行者が「受験」するケースもあるとされる。 知識確認は、最大24言語で受けられ、「○×式」の10問のうち7問正解で合格できる。日本の免許試験の場合、学科試験は、95問(100点)中90点が合格ラインで質問の少なさを問題視する声もある。 また、内容も《車両は右側通行しなければならない》(「×」が正解)などと簡易なものが多いとされる。坂井学・国家公安委員長は3月3日の衆院予算委員会で「学科試験(知識確認)は私が見ても簡易、安易なものであると思うが、同時に技能はかなりしっかりテストしており通過率は29%だ」などと答弁した。 警察庁によると、外免切替の年間取得数は平成25年の2万8439人から令和6年は約2・7倍増え、7万5905人で過去最多となった。