米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が2時間以上の電話会談をし、ウクライナ戦争の休戦および終戦のための交渉に速度を出している。戦争犯罪容疑を受けるプーチン大統領に対する刑事処理問題も今後の交渉過程で扱われるが、これは「共犯」と見なされる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に対する責任糾明の行方も決める可能性がある。 ◆「戦犯」プーチン、刑事責任議論が浮上 トランプは19日(現地時間)、プーチンとの電話会談の後、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に「ロシアとウクライナがすぐにも休戦と戦争終息のための交渉に入るだろう」と明らかにした。プーチンは同日、「戦争の根本原因を解決するのが先だ」として温度差を見せたが、2022年の開戦以降、米ロの最高位級が実質的な終戦交渉の可能性を最も高めたという分析が出ている。 これを受け、ウクライナ戦場でのロシアの「戦争犯罪」に対する処理問題も扱われると予想される。これに先立ち国際刑事裁判所(ICC)はプーチンに対し、ウクライナの児童を拉致するなど戦争犯罪容疑を適用して逮捕状を発付した。 外交関係者の間では最近、北朝鮮とロシアが北朝鮮軍の派兵を公開的に認めたことで、ICCが金正恩もプーチンと共に共犯として提訴する可能性が高まったという声が出ている。宋相現(ソン・サンヒョン)元ICC所長は19日、「2025北朝鮮人権国際会議」で「(今は)金正恩をICCに付託する適期」と主張した。宋元所長は「ウクライナが被害国として告訴できる法的条件が用意された」とし「ICCの検事が職権で起訴手続きを開始する可能性がある」と説明した。 ICCが逮捕状を発付すれば、加盟国は該当人物が自国の領土に入る場合、逮捕する法的義務を負う。宋元所長は「(逮捕状発付時、金正恩は)ICC加盟国に足を踏み入れることができない事実上の制裁を受けることになる」とし「ICCの逮捕状には公訴時効がなく、被疑者は一生、国際犯罪者という烙印を抱えて生きていくことになり、これは相当な心理的処罰」と強調した。 ◆「北朝鮮軍の戦争犯罪付託も可能」 専門家らもウクライナがロシアと北朝鮮を直接ICCに付託する条件が整ったとみている。転換期正義ワーキンググループ(TJWG)のシン・ヒソク法律分析官は「朝ロが派兵を認めたことで、ウクライナがローマ規程第14条(締約国による事態の付託)に基づき、北朝鮮軍の戦争犯罪をICC訴追部に付託する余地が大きくなった」とし「韓国も関連証拠を収集し、政治的意志さえあれば直接付託が可能」と話した。 ◆「責任追及の可能性を残すべき」 ウクライナ民間人虐殺に使用される武器と砲弾を供給し、約1万5000人の兵力を戦場に派遣した北朝鮮を「戦犯」と烙印することは、戦争の準当事国となった韓国にも重要だ。北朝鮮とロシアが「包括的戦略的パートナーシップ条約」第4条(武力侵攻時の軍事的支援)を不法軍事協力を正当化する根拠として悪用するだけに、類似事例が繰り返さないよう外交的・法的対応が必要という指摘だ。 特に最高尊厳である金正恩個人に一生の烙印を押すことは、北朝鮮体制全体に対する象徴的な圧力となる。 原州漢拏大のチョン・デジン教授は「金正恩を戦犯として断罪するのは容易でないが、正義の実現のための記録と国際社会への喚起のために綿密な法的検討は必要だ」とし「ただ、多くの死傷者を考慮すると終戦は最大限に急がなければいけない」と述べた。 一方、韓国外交部の当局者は20日、金正恩に対するICC提訴の可能性について「ICC提訴の可能性は北朝鮮の参戦と軍事支援を認めたかどうか自体より、ICCローマ規程上、該当犯罪構成要件に関連して具体的な事実関係などを総合的に検討するべき問題」と説明した。 ただ、戦争犯罪や人権問題に大きな関心を持たないトランプがノーベル平和賞などを狙って終戦ばかりを急ぎ、プーチンと金正恩に対する刑事的責任糾明手続きが交渉カードに転落することもあるという懸念も出ている。欧州連合(EU)とウクライナがICCの司法的限界を補完するために推進中の「ウクライナ侵略犯罪特別裁判所」関連の会議にも、トランプ政権はバイデン前政権とは異なり全く参加していない。