沼津市足高の菓子製造会社「土井製菓」から約3億9千万円を自身の口座に移して横領したとして、沼津署と静岡県警捜査2課は21日、業務上横領の疑いで兵庫県西宮市高須町1丁目、警備員の男(61)を逮捕した。容疑者は同社の元総務課長で、経理の担当者だった。 逮捕容疑は2024年4月から同年11月までの間、20回以上にわたって同社の預金口座から現金計約3億9千万円を自身の口座に送金し、横領した疑い。 同署や捜査2課によると、男は容疑を認めている。2011年11月に入社し、総務課長として1人で経理業務全般を担い、売上金や口座の管理、取引先への支払いなどを担当していた。インターネットバンキングを使って会社の複数口座から送金し、容疑者が個人的に使用していたとみられる。1度の送金額が9千万円以上に上った時もあったという。 関係者によると、容疑者はFX(外国為替証拠金取引)の投資詐欺サイトに金をつぎ込み、個人的に困窮して会社の金に手をつけたとみられる。 容疑者は昨年12月末に懲戒解雇となった。県警は詳しい手口などを調べている。 ■発覚免れようと? 容疑者、会社のシステム操作 3億9千万円の業務上横領事件が明らかになった21日、菓子製造会社「土井製菓」で事件を担当する弁護士が取材に応じ、容疑者(61)が預金通帳の確認ができる会社のシステムを操作し、発覚を免れようとしていたとみられることが分かった。 弁護士によると、昨年11月中旬、社長が行う預金通帳の確認作業の中で横領が発覚した。通常は会社の資金確認は毎日行うが、システム上の数字が書き換えられていたため、発見できなかったという。容疑者は会社のパソコンで業務中に横領を繰り返していたとみられ、当時の聞き取りに対し、「自分がやった」などと認めたという。 同社は再発防止策として、システムの書き換えができないように改善。顧問税理士など専門家を交えた複数人での確認が毎月できるような体制を整えた。弁護士は「再発防止と信頼回復に務めていく」と話した。