機械メーカー「大川原化工機」の社長らのえん罪事件をめぐる裁判の控訴審で、東京高裁は28日、1審に続き国と都に賠償を命じる判決を言い渡しました。 「大川原化工機」の大川原正明社長ら3人は2020年、軍事転用可能な機械を不正に輸出したとして、警視庁公安部に逮捕されました。 社長らは起訴され、約1年間、身柄を拘束された後、東京地検が犯罪にあたるかどうか疑いが生じたとして、起訴を取り消しました。 社長らは、捜査は違法だったとして、国と都に損害賠償を求めて裁判を起こし、1審の東京地裁は2023年12月、国と都にあわせて約1億6200万円の賠償を命じましたが、双方が控訴していました。 去年6月から始まった控訴審で、原告側は、輸出した機械が規制の対象に該当するかについて、「警視庁公安部は捜索差押許可を得るために、輸出規制を担当する経産省の上層部に働きかけ、規制対象の解釈をねじ曲げさせて捜査を進めた」と指摘し、1審では捜査の悪質性について重要な事実が認定されていないと主張。 これに対し、都側は「原告らの主張は壮大な虚構で、 一部の捜査員らの臆測や思い込みによる筋書きをそのまま借用したにすぎない」と反論。国側も「勾留請求や起訴をした当時の判断に不合理な点はない」として、いずれも違法性はないと訴えていました。 控訴審では、1審で「事件はねつ造」と証言した当時の警視庁公安部の捜査員に続いて別の捜査員が証人として出廷し、事件を立件した理由について、「組織としてはない。日本の安全を考えるうえでもない。決定権を持っている人の欲だった」と話すなど、現職の警察官合わせて3人が法廷で捜査を批判しました。