2025年2月に劇場公開されたマーベル・スタジオの「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(BNW)」が、5月28日より配信中。同作は“ファルコン”として長年活躍してきたサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)が、新キャプテン・アメリカとしての重責と闘いながら、世界戦争へと発展しかねない陰謀に挑む物語。今作はハリソン・フォードがマーベル初参戦となったことでも注目されたが、日本がストーリーのポイントになっている点も話題を集めた。(以下、ネタバレを含みます) ■序盤のホワイトハウスのシーンから登場する“尾崎首相” 敬愛するスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)からキャプテン・アメリカの盾を受け継いだサム。常にキャプテン・アメリカとして自分は何をすべきなのかを模索しながら、アメリカ政府のために尽力していた。そんな彼の功績を称えるべく、サディアス・ロス大統領(フォード)はホワイトハウスへ招き、その上でアベンジャーズの再建を促す。 だがロスといえば陸軍将軍だった時代からアベンジャーズを敵視してきた男だけに、サムは素直に首を縦に振れない。そこに日本の尾崎首相(平岳大)が現れ、3人で記念撮影をすることになる。 この時、すでにサムはある陰謀に巻き込まれていたのだが、そこには日本も関係していた。事の発端は、インド洋に突如噴出したアダマンチウムの利権問題だ。ヴィブラニウム以上に強固な“最強の金属”の出現に争奪戦が勃発。技術、医療、防衛など、あらゆる分野で活用できる資源であることは間違いなく、一国が独占支配することは危険極まりないこと。 日本はそのアダマンチウムの世界初の精製サンプルを保持していた。ところが、サイドワインダー/セス・ヴォルカー(ジャンカルロ・エスポジート)が日本の採掘場から強奪し、それをキャプテン・アメリカであるサムがメキシコで取り返してくれたのだ。 ■尾崎首相がロス大統領からの申し出をきっぱり拒否 世界をリードする存在でありたいロス大統領は、ワシントンで国際会議を開き、アダマンチウムを各国が協力して研究し、皆で分け与えるべきだと訴える。ところが、そこで大統領暗殺未遂事件が勃発。何者かに操られたサムの友人イザイア・ブラッドリー(カール・ランブリー)やSPらが逮捕されるも、黒幕は謎のまま。事件後もロス大統領は変わらず、アダマンチウムを共有するための条約締結に前向きだったが、日本側は違うようだった。 条約締結のためにアメリカがアダマンチウムを盗ませ、そして奪い返すという自作自演を行ったという情報が入ったのだ。しかも確かな筋から。そのため、尾崎首相はロスの申し出にはっきり「NO」と答える。「貴国のゲームに日本は乗らない」と。以後、真の首謀者の思惑通りに事が進み、インド洋を舞台に日本はアメリカと一触即発状態に。この事態を収めようと、サムと“ファルコン”の後継者ホアキン・トレス(ダニー・ラミレス)が駆け付け、大一番の飛行戦を繰り広げるのだった。 ■実在する日本由来の桜並木が重要なシーンに そんな尾崎首相の毅然とした振る舞いに、SNSでは「アメリカ大統領のハリソン・フォードに引けを取らない存在感だった」「貫禄あり過ぎて格好良過ぎ」「MCUの日本強過ぎ!」「媚びなくて最高」と称賛の声が。また、「アンソニー・マッキーにガタイも負けてない」「オーディションでなく、オファーを受けての出演ってすご過ぎる」「最高じゃん尾崎首相」と、演じた平を褒め称える声も多かった。 平といえば2024年から2025年にかけてドラマ界の賞レースをにぎわせ続ける「SHOGUN 将軍」でも名演を披露しただけに、日本のみならず海外からも多くの注目が集まったようだ。 また、劇中に登場する桜並木が印象に残っている人も多かっただろう。この桜は1912年(明治45年)、日米親善の証として東京市(当時)の尾崎行雄市長が贈ったもの。寄贈された桜は約3000本で、現在も春になるとポトマック川沿いをにぎわせ、毎年、「全米桜祭り」が行われている。今作での日本の首相も同じ「尾崎」という役名なのはなかなか粋な計らいだ。 クライマックス、この桜並木が重要なシーンとして登場する。その際、小さな桜の花びらが“レッドハルク”となったロス大統領の正気を取り戻すことに一役買ったことは、日本人として誇らしくも感じる。 「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」は、5月28日よりディズニープラスで見放題独占配信。 ◆文=及川静