<都議選2025>【江東区】8人で4議席争う 政治不信が渦巻く中、候補者の訴えは

都内42選挙区・127議席を懸けた東京都議会議員選挙は、6月22日の投票日に向けて、選挙戦も残りわずかになってきました。今回は「江東区選挙区」の各候補者の戦いをお伝えします 。江東区選挙区は、定数の4議席を巡って、8人が激しい選挙戦を繰り広げています。 江東区選挙区に立候補しているのは届け出順に、共産党・新人の大嵩崎かおりさん(58)、立憲民主党・新人の千葉早希恵さん(45)、無所属・現職の三戸安弥さん(36)、国民民主党・新人の高橋巧さん(26)、都民ファーストの会・現職の白戸太朗さん(58)、公明党・現職の細田勇さん(64)、無所属・元職の山崎一輝さん(52)、無所属・新人の小林裕香さん(53)の8人です。 <「政治とカネ」事件相次ぐ江東区> 江東区ではこの数年、区選出の議員や区長らによる「政治とカネ」を巡る事件が相次ぎました。 前回の都議選以降の4年間だけでも、2022年には区議会議長を務めた区議会議員が逮捕され、あっせん収賄罪で有罪判決となりました。また、2023年の区長選では当選した木村弥生区長を応援した柿沢未途衆院議員が区議らに応援を求めて現金を配ったとして逮捕され、在宅起訴された木村区長とともに有罪判決を受けました。またこれに関連して3人の区議も在宅起訴され、一審で有罪判決を受けていて、現在控訴中です。さらに、2023年には木村区長の辞職に伴う区長選を巡り、当選した大久保区長を応援した区議が、禁止されている戸別訪問をしたとして書類送検され、有罪判決となっています。 こうした事態が相次いだことで“政治不信”が渦巻く江東区で、今回の都議選の候補者はどんなことを訴えているのでしょうか。 <乱戦の江東区 政治不信の中で候補者の訴えは> 「災害・防災対策をしっかりやっていく。『地域力でゼロ災へ』という大きな目標を掲げている」と語り、町内会とマンションとの連携強化など防災対策の強化を掲げるのは、無所属・元職の山崎一輝さん(52)です。政治資金の不記載問題を巡って自民党から非公認の処分を受けていますが、告示日には茂木前幹事長が応援に駆け付けました。 「先が見えない時代になっている。こんな時代だからこそしっかりと未来を見据えて進めていかなければいけない」と訴えるのは、都民ファーストの会の現職・白戸太朗さん(58)です。第1子からの保育料無償化などを都民ファーストの会が進めたと実績をアピールし、党の特別顧問を務める小池知事や区長など、都や区と連携していくと演説しています。 「安全安心・住みやすい都市にしていくために全力で働く」と力を込め、防災備蓄品の充実など防災力の強化を訴えるのは、公明党の現職・細田勇さん(64)です。党の斉藤代表や小池知事が応援に入る中、知事と連携して水道の基本料金無償化などを実現できたと胸を張ります。 無所属の現職・三戸安弥さん(36)は都庁舎のプロジェクションマッピングなど都の予算の使い道などに切り込んできたと強調します。「皆さまから納めてもらっている税金が無駄に・不正に使われていないかチェックするのが私たちの役割」と訴え、水運が発達する江東区の中で団地が並ぶエリアを船でくまなく回り、支持の拡大を図っています。 「この物価高騰から暮らしをどう守るのか、政治の責任が問われている」と訴えるのは、区議会議員を8期30年務めてきた共産党の新人・大嵩崎かおりさん(58)です。中小企業支援を通した賃上げや、制服や学用品の無償化といった物価高騰対策を掲げます。地元の住民が利用する公園などを回り、多くの有権者の声を都政に反映していく考えです。 「学びが届いていない子どもたち一人一人に学びを届けていくことは私たち大人の、そして社会の責任」と語る立憲民主党の新人・千葉早希恵さん(45)は、子育て世帯への取り組み強化に加え、発達障害のある子どもや不登校の児童・生徒らへの支援拡充を公約としています。4人の子どもを育てている目線で、都の子育て政策を細かくチェックしていくと訴えます。 「物価高や高過ぎる税金の負担率をどう引き下げていくのか。全体的な東京都としての課題」と訴える国民民主党の新人・高橋巧さん(26)は、東京都の財源を生かして生活費などの負担を軽減することで手取りを増やすと主張します。演説には党の幹部が駆け付け、国政と連携して物価高対策などに取り組むと強調しています。 「医療従事者が危機に陥っている窮状が皆さんに伝わっていない」と話すのは、無所属・新人の小林裕香さん(53)です。助産師としての経歴を生かし、医療従事者の働く環境の改善を掲げています。助産師仲間と区内を練り歩き、幅広い世代の意見を都政に反映させたいと意気込みます。 <防災力の強化 各候補の訴えは?> 今回の取材で、江東区民からは災害に関する不安の声が多くありました。江東区はエリアによって災害時の想定される被害が大きく異なります。 亀戸などの荒川に近い「城東エリア」は木造の住宅が多く立ち並ぶほか、荒川の氾濫や高潮による浸水のリスクが高い地域です。一方で、豊洲などの「湾岸エリア」は高潮や津波による浸水のリスクなどが想定されていますが、タワーマンションが多いこともあり、災害時には建物内にとどまる「垂直避難」が推奨されています。 こうした特徴がある江東区の防災力強化について、各候補者の訴えを聞きました。 大嵩崎さんは「要介護者などが直接行ける福祉避難所の整備」、千葉さんは「住民以外の人が避難できる場所の拡充」、三戸さんは「大雨などの際に水をためられる貯水施設などの早急な整備」、高橋さんは「湾岸エリアなどでの船を活用した救助体制の整備」を挙げています。白戸さんは「垂直避難など、今ある支援の一層の浸透」、細田さんは「簡易トイレやマンホールトイレなど、自宅や避難所での災害時のトイレ問題の解決」、山崎さんは「イベントを通じた旧市街地と高層マンションなどの新エリアのコミュニケーションによる融合」、小林さんは「非常時に医療スタッフを確保するシステムの構築」を訴えています。 東京都議会議員選挙は6月22日に投票日を迎え、即日開票されます。 ■都議選・江東区選挙区(定数4,届け出順・敬称略) 大嵩崎かおり(58,共産・新) 千葉早希恵(45,立民・新) 三戸安弥(36,無・現) 高橋巧(26,国民・新) 白戸太朗(58,都ファ・現) 細田勇(64,公明・現) 山崎一輝(52,無・元) 小林裕香(53,無・新)

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