すさまじい勢いで燃え盛り、住宅全体を包んだ炎。 2023年11月、青森・つがる市で起きた火事。 出火したのは当時71歳の男性が住んでいた古民家。 約210平方メートルが全焼しました。 警察は当初、通常の火事として捜査していましたが、発生から約1年7カ月が経つ中、事態は急展開。 放火の疑いで東京や神奈川に住む4人の男たちの犯行グループが逮捕され、“保険金目的の放火”だった可能性が浮上したのです。 フードをかぶり、うつむいたまま警察車両に乗り込んだのは保険調査員の深町優将容疑者(53)。 その他、無職の稲葉寛容疑者(57)、自称ブロガーの杉澤大維容疑者(27)、さらに自称鉄道作業員の矢部壱成容疑者(27)、合わせて4人が放火の疑いで逮捕されました。 火事が起きた古民家は矢部容疑者が所有し、71歳の男性に貸していたもの。 近所の人: (Q.古民家の住人は)70代くらいの老人の方で、東京は夏場暑いので青森だったら涼しいと思って安く借りられるということでこっちに来たと。 出火当時、71歳の男性は外出中で、けがはありませんでした。 古民家の所有者については、近所の人に「『ここ誰が持ってるの?』と聞いたら、『東京の不動産会社ですよ若い人ですよ』と聞いたので、たぶん犯人かなと、今思えば。情報源がどこか分からないですけど、(古民家を)100万円で買って、あとは貸してると」と話していたといいます。 この古民家には火災保険がかけられていたとみられていて、警察は、保険金目的での放火の可能性を視野に捜査しています。 中でも深町容疑者は、かつて大手保険調査会社に勤務し、保険金支払いを調査していた調査員。 いわば“火災保険のプロ”が保険金目的の放火に加担していたとみられているのです。 首都圏に自宅がある深町容疑者らは、青森だけでなく、岡山での放火事件でも逮捕・起訴されていました。 青森での火災発生の約2週間前の2023年10月、岡山・美咲町の古民家で起きた火事の映像。 炎が山林にも燃え移る恐れがあり、当時「イット!」でも放送していました。 この火事を巡り、6月4日、放火と詐欺未遂の疑いで深町容疑者、稲葉容疑者、そして杉澤容疑者の3人が起訴されていたのです。 起訴状によると、古民家には4000万円の火災共済金がかけられていました。 保険調査員の深町容疑者がライターで布団に火をつけ放火。 共済金をだまし取ろうとしたとみています。 専門家は、極めて悪質なケースだと指摘します。 武蔵大学経済学部金融学科・茶野努教授: 保険調査員がそんなことをするのは聞いたことがないので、珍しいケース。調査員が知恵を与えていたというところが非常に悪質性が高いというところがあるが、生命保険で言えば保険金殺人に匹敵、非常に罪は重たい。