福井市で1986年に女子中学生を殺害したとして服役した前川彰司さん(60)の再審で無罪判決が出たことについて、警察庁の楠芳伸長官は24日の定例会見で、「現在、検察当局で判決内容を精査し対応を検討すると承知しており、現段階でコメントは差し控えたい」と述べた。 前川さんは86年3月19日、自宅で留守番中だった中学3年の女子生徒(当時15)を殺害したとして殺人容疑で逮捕、起訴された。一審判決は無罪としたが、二審は有罪とし、最高裁で確定。再審で名古屋高裁金沢支部は18日、捜査機関が関係者の供述を誘導した疑いがあり、「証言は信用できない」などとして、無罪を言い渡した。 楠長官は「一般論として、警察の捜査は国民の信頼の上に成り立つもので、捜査に疑念を抱かれることのないよう緻密(ちみつ)かつ適正な捜査を推進することが大変重要だ」と強調。「その認識の下、全国警察を挙げて取り組んでいる」と語った。(編集委員・吉田伸八)