アメリカでトランプ大統領が移民を大量に国外追放する方針を強化する中、移民関税執行局(ICE)の捜査官を装い、女性に危害を加える事件が連続して起きている。 ICE捜査官はしばしば、顔を完全に覆い、私服を着た状態で、身分証明書を提示せずに移民の取り締まりを行っている。 このICEの戦略を利用して、これまでに少なくとも3件、ICE捜査官を装った男性が女性に危害を加える事件が発生している。 ノースカロライナ州では、ICE捜査官のふりをした人物が移民女性を国外退去させると脅して連れ去り、強姦した。 メリーランド州では、偽のICEバッジを提示した人物が駐車場でラテン系女性に近づき、「車に乗らないと国外退去になる」と脅して車内で女性を強姦したと報じられている。容疑者はその後、警察に逮捕された。 ニューヨーク州でも、ICE捜査官を装った男性が真昼間に女性を殴って強姦しようとした後、携帯電話と財布、アクセサリーを盗んで逃走した。 事件を受けて、民主党の連邦下院女性議員の団体「民主党女性党員集会(DWC)」は8月11日、ICE捜査官が移民の取締りを行う時には身分証明を義務づけるよう求める書簡を、国土安全保障省のノーム長官らに提出した。 書簡には「私たちは生涯を通じて、(警察や政府機関など)公式の表示のない車に乗る顔を隠した男たちを恐れるよう教えられてきました」と書かれている。 「誘拐や性的暴行、殺害から身を守るため、そのような男たちから逃げるべきだと学んできました。それにも関わらず、ICE捜査官はますます顔を覆い、私服を着て、身元証明書やバッジを表示せずに、覆面パトカーで強制捜査や逮捕を行うようになっています――こういった戦略は社会に混乱と恐怖、不信感を引き起こしています」 また、議員らは書簡でAmazonで偽のICEジャケットがベストセラーになったこともあると指摘。 「現行のやり方では、女性が人生を一変するほどの暴力にさらされやすいままであり、行動を起こすのはもはや遅すぎるくらいだ」と述べて、ICE捜査官の身元を明確に表示するよう求めている。 書簡の起草者であるニディア・ベラスケス下院議員は「恐るべきことです」とハフポストUS版に語った。 「本物の捜査官と犯罪者を見分けられないため、すべて人がより危険な状況に置かれていますが、その中で最も弱い立場に追い込まれているのが移民女性です」 ベラスケス議員は6月、移民取締りの際にICE捜査官が顔を覆うことを禁止し、名前とICE所属であることがわかる衣服の着用を義務づける法案を提出している。 ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。