7月の参院選で、自民党の候補者に投票する見返りに従業員に現金を渡す約束をしたとして、鹿児島市のパチンコ店「モリナガ」の社長ら6人が逮捕されました。 公職選挙法違反の、買収の疑いで逮捕されたのは、パチンコ店「モリナガ」と「デルパラ」の運営会社社長で東京都の李昌範容疑者ら男女6人です。 警視庁や鹿児島県警などの合同捜査本部によりますと、6人は先月の参院選に自民党の比例代表で立候補した阿部恭久氏を当選させるため、店の店長と共謀し、従業員60人に対して投票の見返りとして現金を支払う約束をした疑いがもたれています。 警察は6人の認否を明らかにしていません。 李容疑者は全国に23店舗あるパチンコ店「デルパラ」と、今年1月に買収した鹿児島市に8店舗ある「モリナガ」の社長を務めています。 今回の60人の中に「モリナガ」の従業員はいませんが、「デルパラ」と「モリナガ」の従業員あわせて250人以上に見返りを約束していたとみられています。平成以降の国政選挙で最大の摘発人数になる見通しです。 阿部氏は全国のパチンコ店でつくる業界団体の理事長を務めていて、参院選ではおよそ9万票を獲得し、落選しました。 (阿部恭久氏)「私自身は『選挙違反に関することはないように』としか(陣営の)皆さんにお伝えしてないので、細かな指示はしていない」 警察は阿部氏の認識についても慎重に調べています。 ■事件の構図 事件の構図をまとめました。 今回逮捕された幹部2人は李容疑者の指示を受けて、モリナガを含む全国の店長とのウェブ会議で阿部氏への投票を求めました。 投票すれば「残業代として3000円から4000円を支払う」と説明したとされています。そして、店長は従業員に対し、朝礼やLINEなどで投票を依頼したということです。 「投票を依頼された」というモリナガの従業員を知る男性に話を聞きました。 (モリナガ従業員を知る男性)「『会社から(投票先の)指示を出されている』と。『誰だったの?』と聞くと『阿部さんです』と言った。絶対あってはならないことだと思い、警察に連絡した」