見知らぬ女性に異様な執着心、後つける行為自体も目的か 谷本容疑者「自己の支配下」狙う

神戸市中央区のマンションで20日夜、住人の片山恵さん(24)が刺殺された事件は、殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区=の見知らぬ女性に対する異様なまでの執着心が際立っている。29日で谷本容疑者の逮捕から1週間。兵庫県警は詳しい状況や動機の解明を続ける。谷本容疑者は他の女性にもつきまとっていたとみられ、専門家は「相手を支配下に置き、意のままにしたいという性犯罪とストーカーの狭間のような犯罪だ」とみる。 捜査関係者によると、谷本容疑者は17日に神戸入りし、片山さんとは別の女性の後をつけオートロックをすり抜けてマンションに侵入した疑いも持たれている。事件2日前の18日朝に片山さんが勤務先付近を歩いている姿をみかけ、目をつけたとみられ、「好みのタイプの女性だと思って後をつけた」との趣旨の供述をしている。 犯罪心理に詳しい専修大の松嶋祐子准教授は「どちらかというとストーカーより、性的動機に基づく気持ちのほうが強かったのかもしれない。土地勘のある有利な場所で好みのタイプの女性を手当たり次第物色していたのだろう」と指摘。谷本容疑者は、片山さんを50分以上にわたり尾行するなど、その足取りからは強固な執念が浮かび上がる。松嶋さんは「つきまとった上で、最終的には2人きりとなり、自分が思い描く理想の状況に持ち込みたいと狙っていた。相手を思い通りに支配することを考えながら、後をつける行動自体も性癖の一種だった可能性もある」とみる。 谷本容疑者は過去に2度、それぞれ別の女性へのストーカー行為を繰り返していた。3年前に起こした事件の令和4年神戸地裁判決では「再犯が強く危惧される」と言及しながらも懲役2年6月、執行猶予5年の判決を言い渡し、保護観察もつかなかった。 松嶋さんは「せめて保護観察をつけられなかったのか」と疑問を呈する。その上で「保護観察所で実施する性犯罪の再犯防止プログラムを受講させるためには動機が性的欲求に基づくものと判断する必要があるが、そこまで言い切れなかったのでは」と推測する。 谷本容疑者について「本人も自分の行動が理解できず、言語化できない可能性もある」とし、「心理学的な観点からも動機を解明していくことが望まれる」と話した。(高田和彦)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加