神戸市中央区のマンションで8月、住人の女性(24)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された会社員、谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区=について、神戸地検は8日、刑事責任能力の有無を調べるための鑑定留置を始めた。期間は12月8日までの3カ月間。裁判で刑事責任能力が争点となる可能性があり、地検は起訴前に事件当時の精神状態などを詳しく調べる必要があると判断したとみられる。 逮捕容疑は20日午後7時20分ごろ、神戸市中央区磯辺通の9階建てマンションで、女性の胸部などを刃物で複数回刺して殺害したとしている。容疑者は「ナイフで腹部のあたりを1回か2回くらい刺したことに間違いありません」と供述する一方、「殺意を持っていたかは分かりません」と容疑を一部否認している。 谷本容疑者は、これまで県警の調べに事件2日前の朝から女性に目をつけ、「好みのタイプの女性だと思って後をつけ被害者が勤務先のビルに入っていくのを確認した」との趣旨の供述をしていることが判明。女性を一方的に標的にし、襲撃した可能性がある。 犯行当日の20日は、女性が午後6時半ごろに勤務先を出た直後から尾行を開始。約50分間にわたり女性が電車を乗り換えたり郵便局やスーパーに立ち寄ったりする後を執拗(しつよう)につけていた。 谷本容疑者は、令和2年にも別の女性にストーカー行為をした疑いなどで県警に逮捕され、罰金の略式命令を受けた。4年にも面識のない女性に付きまとい首を絞めたなどとして逮捕。懲役2年6月、執行猶予5年の判決が言い渡されていた。この裁判時には鑑定留置は行われていなかった。