天川村の汚職事件に絡む捜査情報漏えい事件で、元県警組織犯罪対策1課警部補、大沢成光容疑者(53)=地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕、収賄容疑で再逮捕=と、石山智・元県警捜査2課警部(51)を懲戒免職処分にした16日、県警監察課は記者会見で「捜査管理、人事管理に問題があった。再発防止策を進めたい」と謝罪した。
大沢容疑者は、06年10月ごろから計29回、岩本琢也容疑者(37)=贈賄容疑で逮捕=が役員だった産業廃棄物処理会社「南部」が暴力団から嫌がらせなどを受けた時に警告などをする趣旨で、岩本容疑者から現金計約290万円を受け取ったとして、収賄容疑で再逮捕された。
大沢容疑者らは「職務上知り得た秘密を漏らした」として処分された。県警監察課によると、大沢容疑者は情報漏えいの動機について「石山元警部に依頼され、(前村長の収賄容疑の)感触を取るために接触した」と供述。石山元警部は「捜査2課の別の班が(前天川村長の汚職)事件に着手し焦りがあった。(捜査情報が)流れてもかまわないと思った」と話し、大沢容疑者から、前天川村長の車谷重高被告(51)=加重収賄罪などで公判中=へ捜査情報が流れる可能性を認識していたという。
県警監察課によると、2人は処分に対し、反省している様子で、大沢容疑者は「申し訳なかった」と謝罪。石山元警部も調べの中で「元警察官として世間に恥じないよう生きていきたい」と話していたという。
記者会見で、県警は今後、県警幹部らへ捜査の緊張感の維持や職務の徹底を指導することを明らかにした。このほか、外回りで上司との接触が少ない刑事に対しても、捜査情報の取り扱いを指導したいとしている。
一方、「個人の心の底の倫理観まで指導を徹底するのは難しい」(ある県警幹部)との声もあり、再発防止策の効果が注目される。