福祉施設の防犯、暗証番号の変更は課題多く 指紋や顔認証「有効」

埼玉県鶴ケ島市の老人ホームで入所者の女性2人が殺害された事件で、1人に対する殺人容疑で逮捕された施設の元職員、木村斗哉(とうや)容疑者(22)が「暗証番号を使って出入り口の電子錠を開けた」と供述していることが、捜査関係者への取材で判明した。木村容疑者は2024年7月まで施設に勤務し、当時から暗証番号は変更されていなかったという。 社会福祉施設の防犯を巡っては、2016年7月に神奈川県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件を契機に、対策が進んできた。 事件を受け、厚生労働省は16年9月、福祉施設向けに対策の強化を促す通知を出した。防犯カメラやブザーの設置のほか、元職員らが不正に侵入できないよう暗証番号や鍵を随時変更するなどの対策を提示している。しかし義務ではなく、費用や手間の問題で徹底されない実態があるという。 東京福祉大の学長補佐で、同大大学院の佐々木隆志特任教授(高齢者福祉)は「職員の入れ替わりが激しい施設では、鍵や暗証番号を頻繁に変えて周知するのは手間がかかる」と語る。登録や削除が厳密にできる指紋認証や顔認証が有効だとして「施設内でチェック体制がきちんとしていないのは問題だ。入所者を守るために施設側は万全の対策を取ってほしい」と訴えた。【椋田佳代】

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