【年金世代・予備軍「シニアの居場所」】 定年退職後もアルバイトを求めるシニア世代が増えています。しかし、働きたい気持ちとは裏腹に、シニア向け求人案件は少なく、あるとしても限られた業界のものだけです。そこで現在のシニア世代ならスマートフォンも使い、ネットから仕事の情報を得ようするでしょう。そこに思わぬわながあります。 SNSやネット掲示板に書かれた高額案件に引かれて、非合法な仕事に従事する「闇バイト」の事件が頻発しています。とくに高齢者世帯を狙う強盗が多く、毎日の報道に不安を感じているシニア世代も多いでしょう。その一方で、被害者のほうではなく、シニア世代自身が闇バイトに応募し、加害者側となってしまう例も増えています。 「東京都特殊詐欺加害防止 特設サイト」によると、最近の傾向として「年齢問わず」という闇バイト募集広告が増えており、その結果、50代以降のシニア世代が応募するケースが出てきているとのことです。 「劇場型特殊詐欺」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。電話の向こうで複数の犯人が役割分担して演技し、ターゲットを信じ込ませてキャッシュカードや暗証番号などをだまし取る特殊詐欺の手口です。この中で詐欺電話をかける「架け子」や、だまし取った金品を受け取る「受け子」の役割が多様化して、高齢のメンバーを必要とするケースが出てきているようです。 11月には奈良県の63歳の男が特殊詐欺に加担した疑いで富山西警察署に逮捕された、と富山のチューリップテレビが報じました。それによると、男は別の人物と共謀して富山市内に住む80代の女性に「あなたの名義で携帯電話や銀行口座が作られ犯罪に利用されている」と電話をかけ、2424万円をだまし取ったうえ、さらに検察官を名乗って現金500万円もだまし取った疑いが持たれています。これが闇バイトかどうかはまだわかりませんが、たしかに〝検察官役〟はシニアのほうが信用されそうです。 「自分はそんな悪事には絶対に加担しない」という人がほとんどでしょう。しかし気をつけなくてはいけないのは、募集方法自体が巧妙化していることです。