アンドリュー英王子が自分を訴えた女性の情報を護衛警官に要求と英報道 ロンドン警視庁は「確認中」

ロンドン警視庁は19日、イギリス王室のアンドリュー王子が自分の護衛警官を通じて、自分を提訴したヴァージニア・ジュフリーさん(故人)の個人情報を取得しようとしたとする報道について、「報道を認識しており、その内容を積極的に確認している」と発表した。 ジュフリーさんは、未成年女性への性的虐待で有罪となった米資産家ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)とその仲間から性的被害を受けたと訴えていた一人。今年4月に自死したと、家族が発表した。 アンドリュー王子は、今回の報道についてコメントしていないが、これまで一貫してすべての告発を否定している。 BBCはバッキンガム宮殿にコメントを求めている。 ジュフリーさんは、エプスティーン元被告と、共犯者のギレイン・マックスウェル受刑者からの被害について、最も積極的に公に発言していた一人だった。17歳だった2001年に、2人によってアンドリュー王子に売られ、マックスウェル受刑者のロンドンの自宅で性行為をさせられたと表明。この時を含めて計3回、アンドリュー王子との性行為を強制されたと主張していた。 ジュフリーさんは2021年8月に、アメリカで王子に対する民事訴訟を起こした。双方の弁護士は2022年2月、両者が「大枠で和解」したと発表した。 マックスウェル受刑者は2022年、人身売買などで禁錮20年の実刑判決を受けている。 ■護衛警官に捜査依頼 英日曜紙メイル・オン・サンデーによると、アンドリュー王子は2011年2月にジュフリーさんと初めて会った時の写真が新聞に掲載される直前に、護衛担当の警察官にジュフリーさんの捜査を依頼したという。 同紙は、王子がその警察官にジュフリーさんの生年月日と、機密性の高い社会保障番号を渡したと伝えている。 英紙サンデー・テレグラフも、アンドリュー王子がジュフリーさんに関する「不都合な情報を探そうとした」と報じている。 エド・ミリバンド・エネルギー相は19日、BBCの政治番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に出演し、この件について「非常に憂慮すべきことだ」と述べた。 また、もし事実ならば「そのような形で身辺警護の警官を使うなど、絶対に許されるべきではない」と付け加えた。 アンドリュー王子は17日、自分の称号を返上すると発表。母の故エリザベス女王から授けられたヨーク公爵の爵位のほか、イギリス最古で最高位のガーター騎士団の一員としての資格も放棄した。 王子はすでに「公務を担う王族」ではなくなっており、「殿下(His Royal Highness)」の称号は使えなくなっていた。公式な王室行事にも参加していない。今後の役割はさらに縮小されることになる。 2019年にBBC報道番組「ニューズナイト」でアンドリュー王子のインタビューを行ったエミリー・メイトリス氏は、この決定について「長い時間がかかった」、「この決定を待つには、6年間はかなり長かった」と述べた。 メイトリス氏によるインタビューの中で王子は、2010年12月にニューヨークでエプスティーン元被告と一緒に撮影された後、すべての関係を断ったと述べていた。 しかし、後に2011年2月送信の電子メールが明らかになり、アンドリュー王子がエプスティーン元被告と私的に連絡を取り続けていたことが示された。その中には「お互いにしょっちゅう連絡し合って、近いうちにまた一緒に遊ぼう!」というメッセージのやり取りも含まれていた。 エプスティーン元被告は2019年8月、性的人身売買罪で裁判を待つ間、ニューヨークの拘置所で自殺した。2005年に14歳の少女の両親がフロリダ州で警察に通報したことを受け、元被告は2008年には、少女に対する性的虐待罪で起訴され、司法取引を通じて有罪判決を受けていた。2019年7月には性的人身売買容疑で逮捕・訴追された。 19日の「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に出演したメイトリス氏は、王子による2011年のメールが明らかになった際、「非常に気分が悪くなった」と話した。 メイトリス氏は王子をインタビューした際、王子が「有罪判決を受けた小児性加害者の自宅に4日間滞在して、友情を終わらせる決断をした」ことについて質問している。王子はこれに対し、自分は「しばしば高潔でありすぎる」と答えていた。 これについて19日の番組でメイトリス氏は、「メールの文面の調子、つまり、単に自分たちは友達だと言っているだけでなく、『またすぐに遊ぼう』と締めくくっている点は、王子がその友情を終わらせたことを示しているとは言えず、エプスティーンとの関係を断ったとは到底思えない」と述べた。 「本当に疑問に思わざるを得ない。なぜ彼がそう言ったのか、その会話が本当に存在したのか、そしてあのインタビューの中に、今改めて検証すべき点がどれほど多く残されているのか」 ■ジュフリーさんの回顧録、21日に発売へ 21日にはジュフリーさんが書き残した回顧録が出版される予定で、王子とジュフリー、そしてエプスティーン氏との関係にいっそうの注目が集まると予想されている。 ジュフリーさんの兄スカイ・ロバーツ氏は17日、BBCの「ニューズナイト」に対し、アンドリュー王子の称号返上を受け、亡き妹はこの展開を「とても誇りに思う」はずだと述べた。そのうえで、チャールズ国王にさらに一歩踏み込んで「王子」の称号も剥奪してほしいと呼び掛けた。 「関与したとされる人物は誰だろうと(中略)被害者たちに対して何らかの責任と説明を果たすべきだと思う」と、ロバーツ氏は述べた。 元BBC王室担当記者のジェニー・ボンド氏はBBCに対し、「アンドリュー王子に対していっそうの措置を求める世論の声は今後も続くだろう。なぜなら、こうした見出しは今後も出続けるからだ」と述べた。 「私たちが忘れてはならないのは、この問題の核心にあるのは王室ではなく、ジェフリー・エプスティーンの被害者たちで、その中の一人がヴァージニア・ジュフリーだということだ」と、ボンド氏は付け加えた。 (英語記事 Met Police looking into claims Andrew sought information on accuser)

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