延べ棒状の金塊に偽の刻印を施し正規品として販売したとして、警視庁特別捜査課は、詐欺などの疑いで、中国籍の会社役員、楊暁東容疑者(39)=東京都渋谷区=ら男女8人を逮捕した。特捜課は8人の認否を明らかにしていない。昨今の金価格の高騰に乗じたとみられる。 特捜課によると、楊容疑者のグループは、海外から密輸したり、特殊詐欺でだまし取ったりした金塊を複数のチームに分かれて業者に転売していたとみられる。同様の手口で3~7月、計約95億円を詐取したとみて捜査している。楊容疑者はグループをまとめる「指示役」とみられる。 楊容疑者ら8人の逮捕容疑は3~4月、共謀して、東京都千代田区の業者2社の店舗で、実在する業者の偽造刻印を施した金塊(計約37キロ)を売却し、両社から計約6億円をだまし取ったとしている。 特捜課によると、今年に入り、都内で発生した金塊を買わせる特殊詐欺事件を捜査する過程で、楊容疑者らが偽造刻印の入った金塊を販売している疑いが浮上。輸入する際に必要な消費税を納付せずに利益を得たほか、特殊詐欺で得た金を売却することでマネーロンダリング(資金洗浄)しようとしたとみている。 転売で得た利益の多くは暗号資産に換えられていた可能性もあり、特捜課は実態解明を急いでいる。