警察官や検察官を名乗る犯人グループが、電話で金をだまし取るいわゆる「劇場型の特殊詐欺」が岩手県内でも横行しています。 ビデオ通話で偽の警察手帳を見せるなど不安をあおるのが特徴で、警察が注意を呼びかけています。 4月8日、岩手県盛岡市に住む30代の男性のもとに、大阪府警の刑事を名乗る男から次のような電話がかかってきました。 ーー大阪府警の刑事を名乗る男： 逮捕した犯人グループがあなた名義のインターネットバンク口座を使用していた。犯人グループとの関係を詳しく聞きたい。 その後、警部を名乗る別の男から着信があり、無料通信アプリ「ＬＩＮＥ」のビデオ通話に切り替えるよう指示されました。 こちらはその通話中に記録したスマートフォンの画面です。男が警察手帳のようなものを示しています。 ビデオ通話を続けると、今度は検察官を名乗る男が出てきました。 ーー検察官を名乗る男： あなたの口座に犯人から金が振り込まれていないか調査する。指定する口座に入金してくれればこちらで調査し問題なければ返金する」 こう言われた男性は無実を証明したいとの思いから、ＡＴＭで約50万円を振り込んでしまいました。 その後、不審に思い警察に問い合わせたところ詐欺だとわかったということです。 盛岡西警察署 後藤秀樹生活安全課長 「警察手帳や逮捕状を見せられて、犯罪に巻き込まれたのではないだろうかと不安をあおって、どんどん犯人側のペースになってしまう」 県警によりますと、県内で2024年1年間に発生した特殊詐欺被害の認知件数は53件。 このうち他人に成りすまして金をだまし取る「オレオレ詐欺」は23件で、警察官をかたる手口が8割以上を占めています。 被害が相次ぐ現状に盛岡西警察署の後藤秀樹生活安全課長は強く注意を呼びかけています。 盛岡西警察署 後藤秀樹生活安全課長 「一般の方に対し警察官や検察官がLINEで通話することは絶対にありえない。『こういう手口がはやっているんだ』と、詐欺被害は自分にも降りかかるということを認識して生活することが大事」 県内では警察官のほかにもさまざまな職業を名乗る詐欺電話が相次いでいて、警察は、怪しいと感じたらすぐに相談するよう呼びかけています。